１８．団欒の時間〜雅紀〜 ページ18
「ごちそうさま」をした後も、しばらく4人で話していた。
というか、お父さんとオレが意外と千葉の話で盛り上がってた(笑)
Aのお母さんが温かいお茶を淹れてくださって、頂き物だという美味しいお菓子まで出してくれた。
「この前、久しぶりに1人で金沢に行ってきたのよ。」
お母さんは、Aのおばあちゃんに会いに故郷へ帰ったと言っていた。
「おばあちゃん、今も一人暮らしだから…」
今まで少ししか聞いたことなかった、Aのおばあちゃんの話もしてくれた。
なんだか、平和。
初めて来たお家だとは思えないくらい、オレは穏やかに過ごしている。
・
話していると、あっという間に時間が経つ。
明日があるから、そろそろ帰らないと。
「今日は突然お邪魔したのに、ありがとうございました。そろそろ帰ります。」
「あっ、そうだよね。まーくん、ありがとう。」
Aがすぐに反応してくれる。
「もうそんな時間？」
「はい、明日は仕事があるので。」
「偉いねぇ。Aはお休みよ。」
「それはもう言ったよ///」
確かに。
彼女は元々、土曜日に仕事を入れていない。
このまま、もう少し一緒にいたい。
なんなら、明日もお見舞いに来たいくらい。
「A、ゆっくり休んで。」
「うん、そうする。」
彼女がオレの家に来てくれる時。
Aも仕事の後のことが多いのに、二人分のごはんを作ってくれたり、お風呂沸かしてくれてたりする。
お風呂は、オレがお願いしてるんだけどね。
って、そうじゃなくて。
Aはたくさん頑張っているから。
休める時は、ゆっくり休んで欲しい。
名残惜しくなりながら、帰る準備を整える。
今日は彼女の看病が理由。
だけど、オレはここに来られて、楽しい時間を過ごせて良かったな。
「Aのことをよろしくお願いします。」
「相葉さん、またいらしてください。」
「ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。」
ご両親に丁寧なお辞儀をして、部屋を出る。
Aだけではなくご両親も玄関でお見送りしてくれて、盛大な様子に照れてしまう。
「ありがとうございました。」
靴を履いてからもう一度お礼を述べて、玄関を出る。
・
「まーくんっ」
え？
振り返ると、さっきまで一緒にいたAが後ろにいた。
玄関の扉のちょうど閉まるところだった。
「玄関先までだけど、送る。」
「嬉しいけど、まだ夜は冷えるでしょ。
ここでいいよ。」
もう。
オレを送りに来たの？
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
