１６．食卓を囲む〜雅紀〜 ページ16
「Aから話は少し聞いてたよ。ずっと付き合っている人がいると。」
「そうなんですか？」
そう言えば、「家族には言うね」みたいなことは言われたかもしれない。
それが今、繋がっている。
「あっ。二人とも、そろそろ晩ごはんだよ。
準備出来てる。」
Aは少し照れた様子で、お父さんとオレに声をかけた。
・
「「いただきます。」」
Aのお父さん、お母さんが隣同士、その向かい側にAとオレが座って晩ごはんを食べ始める。
「美味しい。」
ひと口目に飲んだお味噌汁は懐かしい味がして、ちょっとほっとする。
「本当？良かった。」
お母さんが嬉しそう。
「今日は突然お邪魔してしまって、すみません。」
「いいのよ。風邪のAを看病しに来てくれたんだから。」
「そうなのか？」
オレもまさか、こんな風に一緒にテーブルを囲むことになるなんて思っていなかった。
予想外だけど、嬉しい気持ちの方が大きい。
「A、風邪をひいたのは久々じゃない？」
「うん。昨日の夜に熱が出て。」
お父さんも心配している。
「今日、まーくんと会う約束をしていたから、断ろうと思って連絡をしたんだけど…」
「心配になって、来てしまいました。」
気付いたら「Aの家に行く」と言っていた。
オレって、こんなに行動力あったっけ。
今日の自分の行動を思い返す。
「良かったね。」
「本当に＾＾」
へ？
顔を上げると、彼女の両親はオレ達の方を見てにこにこしている。
「私、一応風邪ひいてるんだけど…///」
Aは恥ずかしそうにオレをちらっと見て、また前に視線を戻した。
「大丈夫、治ってきてるよ。」
「親に言えない相手なんて、一体誰なんだと思ってたけれど。」
「相葉くんだったのね。」
あ、そっか。
「付き合っている人がいる」としか、Aは家族に言っていなかった…？
「絶対に秘密だったから…///」
呟くように言って、赤くなってる。
「すみません、こちらの事情で言えなくて。」
「いいんだよ。今、理解してるから。」
うう。
さっきから恐縮しているオレに、お父さんは優しい言葉をかけてくれる。
Aだけじゃなくて、家族も優しいんだ。
「ありがとうございます。」
「真面目な方ね。しかもイケメンだし。」
「それは嵐だし…///」
え。
Aのツッコミ、照れるな。
「イケメンだと思ってくださるなら、良かったです(笑)」
「超イケてるわ。」
「お母さん/// それ以上言わなくていいから。」
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
