１４．ご挨拶する〜雅紀〜 ページ14
「初めまして。よろしくお願いします。」
「かしこまらなくていいのよ。いつもAがお世話になっています。」
「そんな、お世話になっているのは僕の方です。」
良かった。
最初は驚かれたけれど、Aのお母さんにご挨拶出来た。
「今日、私の風邪の看病をしてくれて」
「そうなの？手厚いね〜。」
「え…」
「良かったじゃない。相葉くんに看病してもらえて。」
お母さんがニコッと笑って、Aと話す。
オレの看病を「手厚い」だって。
「今日会う約束してたんですけど、風邪ひいたって連絡が来て。心配になって会いに来ました。」
「ありがとう。Aは幸せ者ね。」
「そう言って頂けて、嬉しいです。」
Aのお母さんがニコニコしているから、オレも自然と笑顔になる。
ここに居られて良かった。
隣のAを見ると、マスクの口元に手を当ててちょっとだけ照れてる。
「相葉くん、今日の夕飯はどうするの？」
「お母さん///」
「Aと一緒に食べて行く？」
へ？！夕飯？？
Aを看病したら、オレはすぐ帰った方がいいかと思っていて、全然考えていなかった。
「オレも一緒に、いいんですか？」
「もちろん。お父さんも帰ってくるし、相葉くんに会いたいと思うから。」
本当に？
「ご馳走になります。」
「まーくん…！」
Aが驚く。
だってね。
こんな機会は、しばらく無いと思うから。
・
「お茶を飲んでゆっくりしててね。」
Aのお母さんは晩ごはんの準備を続けているから、Aが温かいお茶を淹れてくれた。
「ありがとう。飲み終わったら、準備手伝うよ。」
「まーくんはお客さんだから大丈夫。私がしなきゃ」
「風邪ひいてる子は無理しないの。」
キッチンからカウンターを隔てて続いてるリビングのテーブルに座り、二人でお茶を飲む。
晩ごはんの支度をする音が聞こえてきて、不意に自分の実家を思い出す。
「どうしたの？」
「んー…実家を思い出してた。」
「そっか。」
「しばらく帰ってないからかな。」
Aがこくっとお茶を飲むのに合わせて、オレもお茶を飲んだ。
「一緒に帰る？」
「へっ？」
ちらっと彼女の方を見て、さりげなく言ってみる。
「私も…？」
「そうそう。」
「ちょっと遊びに行く？」くらいのノリで訊いてみる。
両親は恐らくびっくりするだろうけど、一緒に行っても大丈夫だと思う。
「まーくんのご両親は、私のこと…お付き合いしていることを知っているの？」
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作者名：おちょう | 作成日時：2017年10月10日 22時
