君の隣で眠らせて～Scene.Masaki.A.～番外編 (ページ2)

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２．今から会いに行く～雅紀～ページ2

「A。もしかして今、家に一人？」
「へ？うん。」

突然電話がかかってきて、どうしたのかと思ったら。
病院に行くほどの風邪ひいてるなんて、知らなかった。

しかも、今日は会えないなんて。

「オレ、今からAん家に行く。」
「え？」
「家に一人だと心細いでしょ？」
「まーくん？私のお家って」
「いつもAを送る時、カーナビに住所入れるから覚えてるよ。」

そう。
二人で会う時、いつも彼女を家の近くまで送っている。

こういう時に、役に立てなくちゃね。

「本当に来るの？！」
「うん。何か都合悪い？」
「あ…特に大丈夫だけど…」
「なに？」
「私、風邪だよ？まーくんにうつしちゃうかも…」

気弱になりながらも、オレの心配をするA。
そういう気を遣うところが、優しいなと思う。

けど今は、オレに頼って欲しい。
今日はオフだからね。

「大丈夫。それよりA、何か買ってきて欲しいものある？冷えピタとか飲み物とか」
「冷えピタはまだある…。飲み物、ポカリとかダカラがいいな。」
「了解。」

一応、手元にメモを書いておく。
準備は出来ているから、これから家を出て、買い物して…

ダラダラせずに行動すれば、1時間あれば余裕かな。

「着いたら連絡するね。Aは、オレが行くまで部屋で休んでて。」
「ありがとう。ごめんね。」

大丈夫だよ。
ちゃんと連絡してくれたんだから。

しかも、咳しててしんどそうだったし。

いつもはしっかり者の彼女だけど、今日はオレが助けるからね。

□

Aの家に向かう途中、スーパーに寄って買い物を済ませた。

飲み物と、翔ちゃんがCMしているゼリーと、卵。

お昼まだだって言ってたから、おかゆを作ってあげたいな。
おかゆを食べられない感じだったら、翔ちゃんのゼリーがあるから、それを食べて薬を飲めば大丈夫。

ん？
オレ、会いに行くのがちょっと楽しみになってない？

それは…
ほら、風邪ひいているAを看病して

「まーくん、ありがとう。頼りになるね。」

とか言われちゃったりして。
ちょっと甘えん坊になった彼女を、ぎゅっとしてあげたりして。

結局、甘い時間じゃん？

なんて。
オレはまだ、この先のことを考えられてなかったんだ。

・

・

えーと…この辺りだね。

車を駅近くのコインパーキングに止めて、スマホを頼りに歩いてきた。

彼女によると、飼っている犬の「マサルくん」が玄関先にいるらしい。