神様がくれた最高の薬 (ページ1)

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Chapter 1 ページ1

珍しく、アルケー社から音羽館に電話がかかってきた。正確には三弦からだが、それでも直接連絡があることはかなりレアケースだ。
ワーグナーが風邪を引いたらしい。三弦から休むように言っているのだが、いくら言っても一向に聞かない。
"食事もあんまり食べないし、お姉さんの作った物なら少しは食べるかもしれないっス"
"そちらさんからも言って、何とか説得して欲しいんスよね…"
電話を取った歌苗によると、そんな内容だったという。

「ちょっと、ワー君のところに行ってくる。みんなのご飯、ここに置いておくから。適当に食べといて」
歌苗はいそいそと出かける準備をしている。夕食のおかずが、既にいくつも作られていた。それをそれぞれ、タッパーに詰めている。
「すっごーい！これ、全部今日の夕飯？」
「歌苗、それも持っていくの…？」
「そう！少しでも食べて元気になって貰わなきゃ！」
いつも以上のご馳走に、目を輝かせるモツ。良い匂いに誘われたのか、ショパンも部屋から出てきていた。
こちらからはなかなか接触出来ないワーグナー。色々といざこざがあったせいもあるが、ワールドツアー等で忙しくしており、音羽館に寄り付かなくなって久しい。三弦からの依頼だが、そんなワーグナーに堂々と会えるのだ。
歌苗はワーグナーを心配しつつも、会える事を楽しみに音羽館を出発した。

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