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青城の人達のモチベーションが下がっていると予想した俺がバカだった
つい最近、及川さんの妹のAが亡くなった
体育館は暗い雰囲気なのかもしれないと考えていた
しかし、マネージャーの席の周りにはたくさんのものが置かれていて
ああ、あの人はこんなにも愛されているんだなって
たまらず向こうのベンチに駆け寄ってしまった
「おい、影山!なにしてんだよー!」
「ちょっと用がな」
「ていうか、なんであの席誰もいないのにものが置いてあるの」
月島の疑問に部員が耳を傾ける
「影山何か知ってるのか…?」
「あ、あとで話します!」
とにかくあの席に行きたかった
唯一といってもいいほど、俺の理解者だった
高校に入ってからも連絡を取り合ったり、仲の良い方だった
そんなAの突然の訃報
部活に私情を持ち込まないようになるべく考えないようにしていた
だからこのことを知る人は誰もいない
あの席を見たら、言いたいこと伝えたいことが溢れそうになって
顔を上げないと涙が溢れそうで
「影山、どうしたんだ」
「岩泉さん、ちょっとあの席にこれ置かせてもらってもいいっすか」
岩泉さんに見せたのはAが好きだったチーズケーキ
「…いいぞ」
その席に行けばそこにAがいるような感じがして
「…A」
「これ持ってきたから、及川さんと食べて」
「それから、色々とありがとな」
「迷惑ばっかかけちまって」
「ありがと…う」
ひとつ、ふたつと滴が落ちていく
「ぜってぇ負けねぇから!!」
岩泉さんに一礼をしてその場を去る
ああらしくねぇな
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作者名:佳奈 | 作成日時:2015年10月12日 16時