君、今ここに【及川徹】 (ページ11)

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おぉ…

広い体育館…！

どの高校も全国レベルで強そうだなぁ

各高校の主将さん、副主将さんが挨拶をしていた

「なかなか個性的なメンツですね、これは」

完全な独り言なんだけどやっぱり喋りたくなっちゃう

すると梟谷高校の副主将さんと目が合った

「え…？」

副主将さんは何で制服違うんだろうというような顔をしてこちらを見ていた

一通りの挨拶が終わった頃、私は副主将さんに声をかけた

「ちょっと来てください、誰にも怪しまれないように」

みんな私のことを無視しているのが気になっていたようで

「あなたは…」

「青葉城西高校１年、及川Aです今年の5月に永眠しました、亡霊です」

「…は？」

その反応で正解です

それから副主将さんの赤葦さんといろいろなことを話した

「Aって及川徹って人の妹？」

「はい！そうです！」

「赤葦さんの好きな食べ物は何ですか？」

「菜の花のからしあえ」

まさかこんなにも早く自分のことを見つけてくれる人が現れるなんて

ひとりぼっちじゃない

そうわかっただけで凄く気持ちが楽になった

「すいません、これ聞いても平気ですか」

「何ですか？」

「Aは何で死んだのですか」

「事故」

「もう少し詳しく聞いてもいいですか」

赤葦さんの目はしっかりと私を捉えていた

今までにお兄ちゃんを含め周りの人は私の事故について触れなかった

いや、触れられなかった

あの子は可哀想とかそんなようなことを思われるのが一番嫌だった

それをお兄ちゃんたちは知っていた

けれどいつかはきちんと話さなければいけないと思っていた

正面から向き合ってくれる人を見つけたくて

いつまでも逃げているわけにはいかない

「いいですけど、練習のあとにしませんか？」

「あ、そうだったね」

赤葦さんは私を知るには真っ正面から向き合わなくてはいけないと思ったのかもしれない

ただ単に知りたいと思っただけかもしれない

お兄ちゃんだってほんとは知りたいに決まってる

あれは事故なのか。