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「ごめん、国見ちゃん」
話を終えた後、しばらく沈黙が続いた
それを破ったのは及川さんだった
「いえ、こちらこそすいません。けど及川さんから直接聞けて良かったです」
そうフォローをしてもごめんねと悔しそうな顔で笑うからどうしてもAと重なる
俺自身も随分と生意気だとは思った。
及川さんに余計に責任を感じさせてしまったのは他でもない俺だ
けれどそれを責めることなく及川さんはいつも通りだった
時折、Aの居た席を見て切なそうにすることを部員みんなが知っていた
岩泉さんが確か言っていた
『あいつ、葬式のときも泣いてねぇんだよな。一番大泣きするかと思ったんだけど全然泣かなかったんだべよ、きっと泣けないんだろーな、涙も出ねぇくらいなんだろうな。俺らには分からねぇ何かがあるんだろうな』
きっと及川さんはそのあとも泣いていないはずだ
いつでも及川さんは、バレー部の主将でキラキラ輝いてなきゃいけないんだろう
及川徹が及川徹であり続けるために。
泣いてしまえば瞬く間に崩れてしまうから
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作者名:佳奈 | 作成日時:2015年10月12日 16時