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食らいたくないもの ページ10

私は、気絶していたのか。
痛みは、多少引いた。
今のところ痛みが増したりもしないようだ。
とりあえず、立ち上がった。
この丈夫な鬼の体にしては珍しくふらついたが、まあ別に気にする必要はないだろう。
それにしたって、あの衝撃は何だったのか?
思い出すだけで震えがしてくる。

……あれは、痛みだったのか。特大の。
まず、この体をどうにかするには、なんかを食べるしかないだろう。
外の様子を見てみると、夕方だった。
丁度日が暮れたところらしい。
いい時間に目が覚めたなあ。
全身は、いまだに痛い。でも、食べなければ死んでしまう。
洞窟を出た。

まむしを見つけた。
後ろから、音をたてないように近づいて、ばっと飛び掛かった。
いつもならそれで終わるはずが、するっと避けてしまった。
何とか追いかけて、捕まえられた。
いつものように食べた。

一瞬、全身の痛みが増した。あの衝撃に比べればまだましだが、痛いものは痛い。
もしかして、ものを食べるたび、こんなに痛いんだろうか。
でも、この量では全く足りないはずだ。
いつもに比べて、やたら食欲は湧かないし、とてもものを食べたいとは思わないが、食べなければ。



狐を見つけた。
あの雲のようなものが、狐の頭の上に浮かんでいた。
映っているものは、ねずみのようだ。
あの雲は食べちゃいけないんだろう。きっと食べたら、また地獄を見るのだろう。
でも、どうしても、食べたい。口に入れたくてたまらない。
食べなければいけないのは、狐の、肉の方だ。
割といっぱい食べたとは思うが、それでもまだ足りない。
何とか、狐の体の方に手を伸ばした。無事に捕まえられた。
東の空が、明るくなり始めている。
洞窟に持ち帰ってから食べよう。
暴れまわる狐を抑えながら、洞窟に向かった。


獣のように、這って食べた。そうしないと、肉でなくあの雲の方が食べてしまいそうになるから。
食べるのは、いろいろと苦痛だった。
まず、ちょっと飲み込むたびに、ただでさえ全身痛いのに、それが増す。
食欲は、自分でも全く信じられないくらいには落ちている。
しかも、何度も何度も体が勝手に雲を捕まえようとする。
それを抑えながら、何とか少しずつ食べた。

でも、すぐに耐えきれなくなって、あの雲のようなものを食べてしまった。
あのときと同じように、ふわふわとする感覚が体中を巡った。
あの痛みは、嘘のように消えた。

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作者名:ユウピイ | 作成日時:2023年10月29日 18時

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