好奇心 ページ7
鬼になってから一年経った。顎の力を鍛えまくって、頑張れば石を破れるくらいにはなった。
でも、あれじゃまだまともに食べられないけど。
後、長く人を食べてなかったせいか、人を食べたいという思いはだいぶ無くなった。
そんでもっておでこの上の方に2本の角が生えてきた。
生えたところがとてつもなく痛い。
目の下には、うっすらと逆さの
あの鬼殺しの人とは、かなり仲良くなった。
彼は、
年は、今年14になるとのこと。
あのとき私を殺す気にならなかったのは、妹に似てたせいだとか言っていた。
一家全員鬼に殺されたらしい。
他人の思いに人一倍気付けない私でもわかるほど、私を妹だと思っていることはたくさんあった。
だからってあんなに近づかれると怖いんだけどな。食べちゃうかも知れないのにさ。
適当に歩いてたら、藤があった。
でも匂いがして近づけない……そうだ、鼻摘めば近づけるんじゃ？
私って天才だな。
無事近づけた。さっさと離れろって本能が言ってる気がするけど、まだ藤は食べたことがないんだから。
ひとつ、葉っぱを摘んで口に入れた。
普通に噛めたけど、危険な感じがする。
でも、別にもっと危険な毒草だって食べられたんだからきっと問題ないでしょ。
そう思って、飲み込んだ。
なんか揺れてるなあ。地震かな。
いや、これ本当に毒だ。わたしがふらついているだけだ。
吐き気がしてきた。
世界がぐるぐる回っているのも、毒のせいだろう。
お腹が空いて、そこらの草をむしってひたすら食べた。
おでこの痛みは、いつもよりもひどかった。
ん？私、何してたんだっけ。
気がつくと、夕方だった。
いつも日が落ちるまで引きこもってるあの小さな洞窟にいた。いつ帰ってきたか、記憶がない。多分意識はずっとあるんだけど。
鬼って寝ないんだよね。
ほんと私何してたんだろ？
……あ、そうだ。藤食べたんだった。
やっぱり無理かなぁ。でも死んでないし、ちょっとずつ食べればきっといつか慣れるんじゃ？
でも苦しかったし藤にそれだけの価値があるわけでもないし……いや、さっきはまともに味わえなかったんだから少なくとももう一回食べる必要はあるよね。
あ、いつの間にか夜になってる。よし、行こう。
うん？藤の下で藤助が仁王立ちで立っている。
まあいいや。
そして、落ちてる藤の葉に手を伸ばした瞬間、
「ばっかやろう！」
そして、夜通し叱られたのだった。
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作者名：ユウピイ | 作成日時：2023年10月29日 18時
