鬼になった少女？の話 (ページ20)

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鬼狩りになった少年の話・1 ページ20

鬼の首を切った。
やっと切れた。
その場に座り込む。
安心したからか、疲れが押し寄せてきて、体に力が入らない。

だが、はっと、あいつの体も鬼だったことを思い出した。
無理矢理にでも立とうとして、指一本すら動かせないことに気がついた。
一歩歩いた先にいるというのに、俺はあいつに何もできないのか？
藤の花を食べるとかいう奇行に走ってはいたけど、あいつは四肢のほとんどがもげるまで、鬼を引き付けてくれていたというのに。
俺は、ただ見てるだけしかできないのか！?
空が赤く、明るく染まるほど、俺の心は、暗く蒼い波に押し流されるような絶望に襲われる。
もう日が昇りそうな時間だというのに、一向に俺の体は動かない。
少しでも動ければ、俺が日陰になってやれるのに。
どれだけ試しても、できないという事実に襲われるだけだった。
そんなことをしているうちに、俺の顔に光が当たった、
太陽が昇り始めた。日の光を、初めて苛立たしく思った。
だが、あいつは燃え始めたりしなかった。
よく見ると、草の一部が、あいつの体を貫通している。
たしかあいつは、心を食べるときは、体が透けるんだっていっていた。
もしかしたら、その状態になったことで、日の光が効かないのかもしれない。
何はともあれ、よかった。

が、何故かいきなりあいつの体は強い光に包まれて、そのまま消えてしまった。
死んでいないと、特にするどくもない俺の感は言っている。
何にしろ、あいつは生きていると思うしかない。
少しずつ、体は動くようになっていった。ふらふらしながらも、立ち上がる。

しかし、どうしていきなり体が動かなくなったりしたのだろうか？
そういえば、急に強くなったような気がしたあの瞬間、首のあたりがやたら熱くなった。
その熱は、まだ続いている。何なら、もっと熱くなっていく。何なら熱いを通り越して痛くなってきた。
それでもどんどんと増していく。別に焼けているわけではないらしく、息は普通にできるのが救いだが、痛いものは痛いし、誰だって痛いのは嫌いだ。俺も嫌いだ。
我慢できなくなって、声が漏れかけたその時、急に熱が引いた。