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目まぐるしいもの・中 ページ16

その時、いいところに鬼が来た。
私はそのまま右足を食べさせる格好になって、囮になる。
藤助は、飛んだ血飛沫を気にもしないそぶりで、
「花の呼吸、陸ノ型。渦桃!」
と、桜色の刀で鬼の首を切ろうとしたが、あのすばしっこさで避けてしまい、切れたのは右腕だった。
お返しと言わんばかりに、鬼が、
「血気術、嵐刃」
と言ったような気がした瞬間、竜巻のような風が吹いた。
強風を前にして、捕まる手足が殆どもげてしまった私は、なすすべもなく、見物はできても近づいて手助けすることは相当難しい場所へ吹き飛ばされた。
だがこの状況でただ見物するなんてできるわけがない。
体を透かして、何とか這って進む。
いつもよりずっと心臓の音がうるさくなっている気がするが、まあ怪我のせいだろう。
藤助の方は、吹き飛ばされこそしていないものの、竜巻の中に、いくつかあの包丁のような風の塊を混ぜていたらしく、あちこちから出血している。
そして、勢いに押された藤助を見た鬼は、
「風刃」
と、そのまま藤助に、大量の風の塊を飛ばす。
「花の呼吸、弐ノ型。御影梅!」
と、剣技で相殺したが、このまま防戦一方になれば今度こそ負ける。
藤助はそう考えて、奴の右腕が戻らないうちに一気に畳みかけることにしたようだ。
今度は、怪我も出血も気にせず接近して、
「花の呼吸、肆ノ型。紅花衣!」
と、切り掛かるが、避けられる。だが、本当の目的は別だったようで、
「花の呼吸、伍ノ型。徒の芍薬!」
と、明らかに避けられなさそうな剣技を放つ。
今度は左足を切り飛ばせたが、またあいつは避けやがった。てかあれ避けられるんだ。
そして「花の呼吸、漆ノ型。露水仙!」
と、少しでも攻撃を当てるためか、今度は首目掛けて突き刺す。
そのまま刀を真横に動かし、首を斬ろうとしたが、鬼は後ろに下がってその前に刀を抜いてしまう。
鬼は全然元気なようだが、もう藤助は出血のしすぎで、まともに戦えそうではない。
それは鬼の方も分かったようで、
「もう死ぬだろうから、冥土の土産に俺の名前でも覚えていってくれよ。風鼬ってんだ。なかなか骨があって面白かったぜ。じゃあな。」
と言いながら、人一人分の長さのありそうな、大きな風の塊を藤助の上に出す。ずっと見えるもの全てが桃色がかった私の目でもわかるほど、威力も強そうだ。

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作者名:ユウピイ | 作成日時:2023年10月29日 18時

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