食べたいもの ページ13
鬼に向かってすぐに、そいつは私よりずっと強いって分かった。
だって、そいつに気づかれてからアイツがすぐにこっちに来て、背中に回られたと思ったらなぜか押し倒されて組み伏せられてるんだもん。
指一本すら動かせないし、むしろ絶賛右足食べられ中。
戦いにすらならなかった。てかどうしよう。鬼にだけは殺されたくないのに死んじゃう。
……あ、そうだ!心の方はガラ空きだし、手は抑え込まれてないからそっちを食べればいいんだ。
心臓があるところに手を伸ばす。気づかれて、アイツは私の手を抑えこもうとして……おかしなことが起こった。
触れるはずのところがすり抜けて、そのまま心をつかめてしまった。
……また痛くなるかもしれないけど、このまま死にたくはない。
思い切って、それを飲み込んだ。
なんともなかった。ちょっとふわふわする感覚はあるけど、とくに痛くもかゆくもない。
こんな感じで済むなら、もっと欲しい。
そうだ!鬼のを食べればいいんだ。
人間のは問題大有りだし、人と戦いたくもないもんね。
なぜか食べる気にならなかった鬼の体を、日がよく当たりそうなところに置いた。
そして、とりあえず洞窟に帰った。
……帰ってすぐ日が出てきた。
片足無くなるだけで動くのこんな大変になるんだな。
傷口とか痛くならないのは良かったけど……
いつ治るんだろ。
ちょっとずつ治ってる気もするけど、そんなにすぐに治ってはくれなさそう。
ま、どうしようもないか。
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作者名:ユウピイ | 作成日時:2023年10月29日 18時