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襲撃 ページ2

今日も、まともに食べるものはなかった。
しょうがない。
育てているものが枯れちゃうし。
まむしもカエルも、今日は1匹も捕まえられなかったし。
もう既に飢え死にしている人たちは村の中でもかなりいるらしい。
先月、おばさんも死んじゃった。もう、お父さんとお母さんしか家族がいない。
わたしも、そうなるのかな?腕と足は、先月よりも骨が浮かび上がってきた気がする。お腹の骨は、もうちょっと前から浮かびあがってた。
とにかく、帰らなくちゃ。鬼が来ちゃう。

「ただいま」
「「おかえり」」
お母さんは、いつものようにわらじを作ってた。
お父さんも、もう帰っていたみたい。
2人ともすっかり痩せちゃってる。骨と皮、みたいな。
これじゃいつ死んじゃうかも分かんない。
でも、人の死体はさすがに食べる気はしない。

今日のごはんもほとんどなかった。お父さんとお母さんのはもっと無いけど。
でも、ためてる食べものも、もうほとんど無い。
なんか心とかたべられないかな。そしたら、飢えずにすむかな。
って、何馬鹿なこと考えてるんだわたしは。おなかすいたせいかな。
これは寝て、おなかすいたのをごまかすしかない。さっさと寝よう。

「起きて」
お母さんが、耳もとで小声で言った。
「早く隠れて」
何が何だかわからないまま、戸棚に隠れた。
そういえばさっきから外から変な音がしている。
そう思っていたら、いきなり何かが壊れる音がした。
そしてお母さんの悲鳴。
わたしは、怖いって思いながら必死に口を押さえた。
だって、鬼が来たんだって思ったから。
嫌な音がした。きっともうお母さんは食べられちゃってるんだろう。
少し経ったあと、足音がした。
だんだん大きくなっている。
そして、戸棚が開こうとしたとき、走ってきたような音がして、何か、肉のようなものと硬いものが切れた音がした。
ちょっとだけ静かになったと思ったら、また走っていくような音がした。
音がなくなってから戸棚を少し開けて、びっくりした。
チリとなって消えていってる、鬼のようなものが倒れていた。
たぶん死んでる。首と胴が離れているから。
戸棚をでて、すぐにお母さんの着物と、ほんの少しの骨と皮が見えた。
やったのは今も消えていってるこれしかない。
そのとき、無性にお腹がすいた。こいつがお母さんを殺した。こいつがお母さんを食べた。
そう思ったとき、思わずわたしは、手足の消えたそれにかじりついた。
そいつは、かみ切れなかった。硬かった。

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作者名:ユウピイ | 作成日時:2023年10月29日 18時

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