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27.告白 ページ29

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また正式に登楼してくれた不死川さんは、照れくさいのかぷいっと目を逸らして、前と同じようにぼんやりと芸者たちの芸を眺めて、前と同じように豪華な料理を頼んでくれた。








引けの時間になって、布団が敷かれた私の部屋にふたりきり。








意識してしまって、ひとりで変に緊張している。








「不死川さんが来てくれるかもって思って、おはぎを買っておいたんです」

「なんか、悪ィな…」







出されたおはぎをちまちまと食べる不死川さんが可愛らしくて、何度見ても思わず頬が緩む。







…それと同時に、どこかいつもと様子が違う気がした。









「…それより、もう大丈夫かァ?」









この前のことを聞かれてるって、すぐに分かった。









「…大丈夫なわけねぇよな。聞き方…悪かった」

「いえ…夢で会えたので、寂しいですけど、もう大丈夫です」

「…そうかァ」

「……"幸せになってくれないと天国に行けない"って言われちゃいました」









夢で会えた時のことを思い出すと、寂しいけど気持ちが穏やかになる。







「…それなら、幸せに生きないと怒られちまうなァ」








不死川さんは眉を下げて(かす)かに笑った。








…やっぱり、(まと)う雰囲気が少し違う。









「…なんだかいつもと違う気がして…なにかありましたか…?」








不死川さんに近付いて顔を覗き込むと、私と目が合うまでの一瞬だけ、眉を寄せて苦しそうな顔をした。








「Aに会うことがもう出来なくなるかもしれねぇ」

「…」








私が固まっていると、不死川さんは話してくれた。








鬼の頂点である鬼舞辻無惨との決戦が迫っていること。
鬼殺隊の全てを懸けた最終局面を迎えるところだということ。








そして─────生きて帰れるか分からないということ。









「Aのおかげで、俺は救われたよ」









───違う。救われたのは、私…









言葉が出なくて、自分の目に涙の膜が張っていくのが分かる。








これが最後だなんて、お願いだから言わないで








私はあなたに、なにも返せていないのに。なにも伝えられていないのに。








「……いや…っ、」








気付けば体は勝手に動いて、目は涙で濡れたまま、あなたの体に抱きついていた。








「…もう二度と会えないなんて嫌…、」

「…A…?」

「…────私、不死川さんのことが好き…っ」






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28.重なる体 ※少し甘々シーンあります。→←26.募る想い



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玲羅(プロフ) - すごく面白いです!体調に気をつけて、更新頑張ってください! (4月19日 11時) (レス) id: cb3a3c8e5d (このIDを非表示/違反報告)
萌娜(プロフ) - かるぱすさん» コメントありがとうございます^^そう言っていただけると本当に嬉しいです…!もう少しで完結予定なので、最後までよろしくお願いします♡ (4月3日 11時) (レス) id: 8beddeaf96 (このIDを非表示/違反報告)
かるぱす - 初コメ失礼します!この作品すごく面白いです!更新待ってます! (3月31日 0時) (レス) @page22 id: 11d8e78453 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:萌娜 | 作成日時:2024年2月29日 17時

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