23.息継ぎ ページ25
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部屋には布団が敷かれていて、私は肌着の襦袢姿。
ふたりきりになって、不死川さんはきっと手を出してこないと分かっていても少し緊張する。
「…あの、どうして来てくださったんですか…?すごく嬉しいですけど、鬼狩りのお仕事はお休みでしたか?」
「最近急に色々と事情が変わってなァ、鬼が身を潜めてる…だからここに来る余裕ができた」
少し話を聞くと、鬼の禰󠄀豆子ちゃんが先日の戦いで太陽を克服したそうで、それから鬼の出没がぴたりと止んだそう。
「……なにかあったのかァ?」
不死川さんは、心配そうに私の顔を覗き込む。
「…元気がないように見える」
…やっぱり、顔を合わせた時から気付いていたんだ。
今日の不死川さんは、正式に登楼してお金を払ってくれたお客様。不死川さんは優しいから、きっと私の話を聞いてくれるだろうけど、今は話してはいけない気がした。
話しだしたら、涙が止まらなくなって、優しさに甘えてしまうから。
「……話したくないこともあるよなァ…」
そう言った不死川さんの横顔が、
あなたに弱いところは見せたくないのに、泣いてるところなんて、本当は見られたくないのに
「…お前、泣いて…」
ぽろりぽろりと、涙と一緒に、言葉もこぼれてく。
「…お母さんと妹が、鬼に…っ、」
その先は言わなくたって、不死川さんは
涙が
目が熱くて、視界がぼやける。
手で顔を覆った瞬間───熱い温度に包まれるのを感じた。
あなたの匂いが鼻を
あなたに抱きしめられていた。
涙はさらに溢れて、瞬きの度にこぼれ落ちる。
苦しくて苦しくて、息がしづらくてたまらなかったのに、
あなたの腕の中に入ると、不思議と息がしやすくなった。
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時系列的には柱稽古編のところです
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玲羅(プロフ) - すごく面白いです!体調に気をつけて、更新頑張ってください! (4月19日 11時) (レス) id: cb3a3c8e5d (このIDを非表示/違反報告)
萌娜(プロフ) - かるぱすさん» コメントありがとうございます^^そう言っていただけると本当に嬉しいです…!もう少しで完結予定なので、最後までよろしくお願いします♡ (4月3日 11時) (レス) id: 8beddeaf96 (このIDを非表示/違反報告)
かるぱす - 初コメ失礼します!この作品すごく面白いです!更新待ってます! (3月31日 0時) (レス) @page22 id: 11d8e78453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌娜 | 作成日時:2024年2月29日 17時