玉響の風【不死川実弥】

16.温かい場所 ページ18

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しばらくして、しのぶさんの治療のおかげで、やっと自分だけでご飯を食べられるようになった。








「───Aさぁぁぁん！！」








そしてその頃には、私の元に訪れてくれる人がたくさんできていた。







「あ、善逸さん」

「Aさんは今日もなんて美しいんだろう、ああもうこんな人が俺の奥さんになってくれたらと思うと胸が───」







金髪の髪をした男の子は善逸さんといって、あの日遊郭で戦ってくれていたうちの1人。しのぶさんにまだ治療をしてもらっているらしくて、目を盗んで私の所に来ては庭で摘んだ花を持ってきてくれる。







「今日はこの俺がお前に天ぷらをいっこ分けてやる！子分の中でもお前にだけだからな、トクベツだ！」

「ふふ、ありがとう。でも伊之助さんこれ好きでしょう？ひとりで食べていいのよ」







この猪の被り物をした男の子は伊之助さん。声をかけるとほわほわさせて逃げていっちゃう…。荻本屋に潜入してた猪子ちゃんで、口は悪いけど顔はすごく綺麗。春に話してあげたいなぁ…







「Aさん、お元気そうでなによりです！禰󠄀豆子、Aさんにすぐに会いたがっちゃって…」

「むー！」







炭治郎さんと禰󠄀豆子ちゃん、この2人も遊郭で戦ってくれていた。炭治郎さんは素直で、私の体調をよく気にかけてくれる。今頭を撫でてあげてる禰󠄀豆子ちゃんは、意識を失った後の私を助けてくれたんだって。







「よぉ、だいぶ回復したらしいな。にしても、化粧してない顔も派手に綺麗だな！」







宇髄さんは3人のお嫁さんを連れて、時々顔を見せに来てくれる。酷い怪我の痕が痛々しいけど、元気そうで私も嬉しい。お嫁さんもいい人で、まきをさんとも話せた。







そしていつも帰り際に、「嫁になる覚悟ができたら派手に言ってくれ！」「私たちもAさんなら歓迎します！」と言い残していくの







不死川さんは、私が誰かと話しているところに鉢合わせると、その人を部屋の外につまみ出す。







そんな光景が面白くて、私は笑っていられる時間が多かった。







みんな温かくて優しくて、心が満たされる。







「私、今すごく楽しいです」

「よかったなァ」







朝方、外がまだ薄暗い中、任務帰りの不死川さんが来てくれていた。







「やっと歩けるようになってきたので、お昼は炭治郎さんと禰󠄀豆子ちゃんが庭のお散歩に付き合ってくれたんです」






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