15.蝶屋敷 ページ17
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「はぁ、不死川さん…Aさんの目が覚めたなら、まず私に声を掛けてくださいと言ったはずですよ」
「…胡蝶…」
部屋の扉を開けて入ってきたのは、小柄で紫色の目をした、蝶の髪飾りをつけた女の人だった。
綺麗な子…
「…また来る」
不死川さんは女の人に怒られて、きまりが悪そうに部屋から出ていってしまった。
「私は胡蝶しのぶといいます。目が覚めて本当によかったです」
「…あの、ここは…」
「私の屋敷です。Aさんは鬼の攻撃に当たって、怪我と毒のせいで意識がなかったので、ここで治療をしているんですよ」
あれから5日も眠っていたなんて信じられない。
「…私と一緒にいた女の子はどこにいますか?春という子で…」
「その子は怪我もなかったので、荻本屋の皆さんと避難所で合流できたそうですよ」
「よかった…あの時戦っていた鬼殺隊の皆さんも無事ですか…?」
「全員大怪我を負っていて、まだ眠っている人もいますが大丈夫です」
皆生きているんだ。大怪我なら素直によかったとは言えないけれど、でも、よかった…
それより、私はここにいて大丈夫なの…?
あんなことがあったとはいえ、吉原の外にこんなに長い時間いたらどうなるか…
「あら、考え事ですか?」
「…私は吉原の遊女なので…吉原の外で過ごすことは駄目なんです」
「知ってます。でも大丈夫です」
「…?」
「不死川さんと宇髄さんのお嫁さんが、荻本屋の楼主に掛け合ってくれたんですよ。事情を説明して、Aさんの体が良くなるまではここで診ることを許してもらいました」
…不死川さんが、また私のために動いてくれたなんて。それに、宇髄さんとお嫁さんにもお礼を言わないと…
「それにしても凄かったんですから。ふふ、不死川さんのあんなに取り乱した顔は初めて見ました。今日まで毎日、寝る間も惜しんでAさんの顔を見に来てたんですよ」
しのぶさんは口角をあげてくすくすと思い出し笑いをしている。
そんなに心配してくれてたなんて…
「治ったわけではないですから、まだまだ安静にしていてくださいね」
しのぶさんはそう言った後、「綺麗な顔に傷ができなくて良かったです」と優しく笑いながら水を渡してくれた。
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玲羅(プロフ) - すごく面白いです!体調に気をつけて、更新頑張ってください! (4月19日 11時) (レス) id: cb3a3c8e5d (このIDを非表示/違反報告)
萌娜(プロフ) - かるぱすさん» コメントありがとうございます^^そう言っていただけると本当に嬉しいです…!もう少しで完結予定なので、最後までよろしくお願いします♡ (4月3日 11時) (レス) id: 8beddeaf96 (このIDを非表示/違反報告)
かるぱす - 初コメ失礼します!この作品すごく面白いです!更新待ってます! (3月31日 0時) (レス) @page22 id: 11d8e78453 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:萌娜 | 作成日時:2024年2月29日 17時