【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼 弐

55、さようなら ページ10

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「…ねえ…A……何考えてるの？」




涙が溢れて止まらない。最後まで笑顔でいようと思ったのに、累の顔を見ると涙が止まらないんだ。
察しのいい累のことだ。私が何か良からぬことを考えてると思っているのだろう。その通りなんだけど。


そっと懐から出した琵琶を累の手に握らせる。



「これは……！」



累に突き返される前に私は累の指を動かし琵琶を引いた。


ベンッ



琵琶引いた瞬間赤い霧が累を包んでいく。




「累、ごめんね……




＿＿＿＿＿大好きだよ」





そう言って消え行く累に自分から初めて口付けをした。




「A………っ！」




こちらに伸ばそうとした累の手は、私に届かず赤い霧に呑まれて消えていった。

累の悲痛に満ちた声だけが耳に残る。


ごめんね、累…。
最後は笑っていて欲しかったけどまあ無理な話だよね。累を助けられただけで充分なんだからそんな贅沢言ってられない。

今頃累はちゃんと無限城に着いただろうか？

ちゃんとあの琵琶は機能したのだろうか？


色々な心配が頭を巡るがそんな悠長に考えてる時間はないらしい。

首に冷たい刃物の感触がした。



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