87、微睡み 弐 ページ43
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「A…どうしたのその服……」
累が驚きの声をあげる。
私の服はいつのまにか着物から鬼殺隊の隊服になっていて。これが夢だということを嫌でも思い知らされる。
嫌だ。起こさないで。私はずっとここにいたいんだ。累の側にいたいんだ。
「____A起きてくれ…!」
でも……。
「何してるのA……」
累と距離をとり自分の頸に刀を当てる。
そんな私に累は動揺する。
「累…ごめんね」
これは現実じゃない…。
あの鬼は下弦は殺されたと言っていた。でも、でも……私は、累は生きていると信じたい。
さっき累に言われた言葉で思い出した。
累と喧嘩して仲直りした時に言われた言葉。
『____僕はAが何者であろうと側を離れたりしないよ。僕は強いから、死んだりなんて絶対しないしAを置いていったりなんてしない。』
そうだ。累が死ぬわけない。
きっとまだ生きている。
私はあの時言った累の言葉を信じたい。
自分の頸に当てた刀に力を込めた。
自分の血飛沫が目の前に広がる。
「A……!」
累は悲痛の表情で私に手を伸ばす。
その手を掴むこともできず、私の景色は一転した。
「A…!良かった…!起きたんだな」
目を覚ませばそこは汽車の中だった。
目の前には気持ち悪い大きな骨が。
それに私の身体は気持ち悪い手に掴まれていて身動きが取れない。恐らくあの下弦の壱の術だろう。
炭治郎と伊之助が必死に鬼の手や大きな目玉の血鬼術の攻撃を斬り防いでいる。
なにこれ…どういう状況。
「A今助けるからな!」
そう叫んで炭治郎が剥き出しになった大きな骨に向かって呼吸を使おうとした。
待って。あの骨って下弦の壱の頸の骨じゃ……。
あれを斬られたら下弦の壱が死んでしまう。唯一の累の手掛かりが消えてしまう…!
「待って…!炭治郎…!」
私の制止の声も虚しく炭治郎の斬撃で鬼の頸は断たれた。
途端に鳴り響く凄まじい断末魔に激しい揺れ。鬼が頸を斬られてのたうち回っているのだろう。
「伊之助…!A…!乗客を守……」
激しい揺れと共に汽車が横転する。
炭治郎はこんな時まで他人の心配か。見たところ炭治郎はかなり負傷してる。
さっきはまた炭治郎に助けてもらったし…。
私は汽車が横転する中、炭治郎の腕を引き寄せ身体を抱きかかえて電車から飛び降りた。
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たぴ(プロフ) - こたつみかんさん» とても嬉しい感想ありがとうございます…!大好きと言ってもらえて嬉しすぎて号泣してます(泣)これからも頑張ります〜! (2020年2月13日 17時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こたつみかん(プロフ) - 最新話感動しました…!累くんに夢主ちゃん…本当に良かった…( ;∀;)この作品とても大好きです!いつも応援してます! (2020年2月12日 21時) (レス) id: 9818a33cdd (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 瑠衣さん» わあん嬉しい感想ありがとうございます!夢主ちゃん可愛いて言ってもらえて嬉しいです…!(泣)更新頑張ります〜!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 夢主かわいい!!すっごく面白い!更新頑張れ!! (2020年1月30日 20時) (レス) id: 343b8fe714 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 香恋さん» 感想とても嬉しいです…!!(号泣)わああん更新すごく頑張れます!ありがとうございます!! (2020年1月26日 21時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年10月21日 19時