86、微睡み ページ42
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なんで私はいつも大切な人を失うのだろう。
私があの時累を無限城に送らなければ累は無惨に殺されることもなかったのに……
私のせいだ……
私のせいで累は……
「…累……ごめんね……」
「なんで謝ってるの?」
「え?」
累の声がして咄嗟に顔をあげる。
そこにはあんなに会いたかった累の姿があった。
「なん、で……累がここに…?」
「何言ってるの?僕たちずっと一緒にいたでしょ?」
あれ…?そっか…そうだった……。なんで私は今そんなことを言ったんだろう。
不思議そうにこちらを見る累に私もなんで今そんなことを口走ったのか自分自身で疑問に思う。
「ごめん…悪い夢でも見てたみたい」
私がそう言えば累は「Aってば変なの」とクスクス笑う。
ずっと見たかった累の笑顔。その笑顔に私は思わず累に抱きついた。ぎゅうっと抱きしめれば累は驚いたように私に声をかける。
「わ、どうしたの急に」
「分からない…分からないけどしばらくこのままでいさせて……」
なんでだろうずっと側にいたはずなのに久しぶりに累に会った気がする。久しぶりに累と言葉を交わした気がする。
「…よっぽど怖い夢でも見たんだね」
そう言って私の頭を優しく撫でてくれる累に涙が溢れてきそうになる。
「…すごく、怖い夢を見たの……累と離れ離れになって…累が死んじゃう夢………」
「…僕はAの側を離れないし、そう簡単には死なないよ。だから安心して」
「…うん……」
抱きしめてくれる累の温もりが暖かい。
本当に夢を見ているみたいだ。
こんな時間がずっと続けばいいのに、そう思った。
その時、
「____A…!」
どこからか私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
この声は………
「___A!起きるんだ!」
「炭治郎…?」
「どうしたのA?」
「え?あれ…?……聞こえない?」
「何が?」
どうやら炭治郎の声は累には聞こえていないらしい。
なんで炭治郎の声が聞こえるの…?
それに起きろって……。
「_____それは夢だ!自分の頸を斬るんだ!そうすれば現実に帰ってこれる…!」
夢……?これが?違うよ。これは現実だよ。
累と離れ離れになったのも私が鬼殺隊に入ることになったのも累が無惨に殺されたことも、全部全部夢だったんだから。
そう全部夢だった……
…………夢だったら、良かったのに…………
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たぴ(プロフ) - こたつみかんさん» とても嬉しい感想ありがとうございます…!大好きと言ってもらえて嬉しすぎて号泣してます(泣)これからも頑張ります〜! (2020年2月13日 17時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こたつみかん(プロフ) - 最新話感動しました…!累くんに夢主ちゃん…本当に良かった…( ;∀;)この作品とても大好きです!いつも応援してます! (2020年2月12日 21時) (レス) id: 9818a33cdd (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 瑠衣さん» わあん嬉しい感想ありがとうございます!夢主ちゃん可愛いて言ってもらえて嬉しいです…!(泣)更新頑張ります〜!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 夢主かわいい!!すっごく面白い!更新頑張れ!! (2020年1月30日 20時) (レス) id: 343b8fe714 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 香恋さん» 感想とても嬉しいです…!!(号泣)わああん更新すごく頑張れます!ありがとうございます!! (2020年1月26日 21時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年10月21日 19時