61、くるくる狂う ページ16
累side
Aの血の匂いを頼りにAと最後に別れた場所まできた。
そこには夥しい量のAの血と………
「…………」
Aにあげた髪飾りが落ちていた。
Aの姿は、ない。
日の光に反射して髪飾りがキラリと光る。
僕は日に照らされたそれを肌が焼け爛れるのも気にせず手に握りしめた。
「…人間は脆い。これだけ出血していればAはもう……」
「いいえ無惨様、Aは生きています」
無惨様の言葉に僕は答える。
「…なぜそう思う?」
「……只の勘です」
そう只の勘だ。
髪飾りを握りしめた時、なぜだかまだAは生きていると思った。
こんなのただの現実逃避だと、ただの妄想だと頭では分かっている。
でも頭の中で確信があった。
自分でもなんでそう思うのかは分からない。
「ふ…勘か、おもしろい。お前の勘を信じよう。それで…Aはどこに居ると?」
「恐らくですが、鬼殺隊に囚われていると思います」
どこにいるのかまでは分からないが、ここに居ないのなら恐らく鬼殺隊に囚われていると考えるのが妥当だろう。
Aはきっと生きている。
もう僕は自分の勘に縋ることしかできない。
それが例え妄想だったとしても、もう僕はそう思うことでしか自分を保つことができなかった。
「……お願いします無惨様、血をお分けください。僕はもっと強くなりたい……」
もう二度と鬼狩りに負けないくらいの強さが、
次こそは絶対にAを守り抜けるぐらいの強さが、欲しい。
「…いいだろう」
無惨様は一言そう言って僕に血を分けてくださった。
無惨様の血が僕の身体に入ってくる。
それと共に身体全体に激痛が走る。
自分が自分じゃなくなるような感覚に陥る。
「ぅ……が…っ……A…っ」
A、絶対に助けてあげるから。
次こそは必ずAを守るから。
待っててA____
薄れゆく意識の中、僕はAの髪飾りを強く握りしめた。
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たぴ(プロフ) - こたつみかんさん» とても嬉しい感想ありがとうございます…!大好きと言ってもらえて嬉しすぎて号泣してます(泣)これからも頑張ります〜! (2020年2月13日 17時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こたつみかん(プロフ) - 最新話感動しました…!累くんに夢主ちゃん…本当に良かった…( ;∀;)この作品とても大好きです!いつも応援してます! (2020年2月12日 21時) (レス) id: 9818a33cdd (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 瑠衣さん» わあん嬉しい感想ありがとうございます!夢主ちゃん可愛いて言ってもらえて嬉しいです…!(泣)更新頑張ります〜!! (2020年1月31日 20時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
瑠衣(プロフ) - 夢主かわいい!!すっごく面白い!更新頑張れ!! (2020年1月30日 20時) (レス) id: 343b8fe714 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - 香恋さん» 感想とても嬉しいです…!!(号泣)わああん更新すごく頑張れます!ありがとうございます!! (2020年1月26日 21時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年10月21日 19時