【鬼滅の刃】人斬り少女と蜘蛛の鬼 弐

60、無惨様 ページ15

累side




いつもなら頭を垂れて無惨様にひれ伏すが今はそんなことをしてる余裕がなかった。




「琵琶使いの女は…！琵琶使いの女はどこですか…！？」




こんな無礼を働いて無惨様に殺されるかもしれない。
でも殺されても別に良かった。
Aのいない世界でなんて生きていきたくなかったから。

まだAは死んだと決まった訳じゃない。けれど、最悪の状況しか頭に浮かばないんだ。




「…鳴女は今はここにはいない……



Aに何かあったのか？」



「……！」





なぜ無惨様がAの名前を知っているんだ？
Aと無惨様はどこかで出会ったことがあるのか…？

いや、今はそんなこと考えてても仕方がない。今は時間がないんだ。





「実は……！」




僕は先程までの出来事を全て無惨様に話した。

那田蜘蛛山に大勢の鬼狩りが来たこと。
柱との戦闘でAに庇われたこと。
そのせいでAが傷を負ったこと。
そしてAに琵琶で助けられたこと。




「………そうか」



無惨様はそれだけ言うとすぐに鳴女を呼んでくれた。





「私も行こう」

「え？」




まさか無惨様自ら行くとは思わなかったのであまりの驚きに思わず声が出てしまった。

なぜ無惨様が直々に…？

それ以前に僕は鳴女を呼ぶ時点で、そんなことで私の手を煩わせるなとでも言われると思っていたから。

無惨様の考えてることは分からないが、確かに無惨様がいれば心強い。
これでやっとAを助けに行ける…！









僕達が那田蜘蛛山に着いた頃にはもう日が昇りかけていた。

あれからどのくらい時間が経ったのか。

もうすでに鬼殺隊もいなくなっていた。

考えなくても分かる。



＿＿＿Aはきっと、もう



それでも僕は歩みを進める。

僅かな望みを信じて。


今まで神なんて信じていなかった。
そんなものは人間の作った妄想だと思ってたから。
けど、今だけは信じたい。


どうか、どうか神様……

Aが無事でありますように……



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