検索窓
今日:6 hit、昨日:16 hit、合計:530,160 hit

39、夢の果てに 弐 ページ41

.



「……僕の方こそ、ごめんね…。僕もあの時Aが逃げたって勘違いして、Aの傷つくことばかり言ってしまって…。僕、A以外の妹なんていらないのに……Aの代わりなんているはずがないのに。怒りに囚われて酷いことばかり言って……本当にごめん…」


「……いいの…っ……累…もう置いてかないで……!捨てないで………ずっと一緒に居て……」




縋り付くように累を抱きしめる。
身体は情けないくらいに震えていて、累はそんな私を落ち着かせるように優しく背中を撫でてくれた。




「もうどこもいかないよ。ずっとAの側にいる。ずっと一緒にいるよ」


「……ほんとう…?…累もお兄ちゃんみたいにどこか行ったりしない…?」

「……お兄ちゃん…?」


「……私には昔…お兄ちゃんがいたの………………」




私は誰にも話したことのない自分の話をポツリポツリと累に話し始めた。

私にはお兄ちゃんがいたこと。
お兄ちゃんが殺されたこと。
お兄ちゃんを殺した奴らをみんな惨殺したこと。
そして人や鬼を斬ることで心を満たしていたこと。


累は私が話している間、ただ静かに背中を撫でてくれた。累の顔が見れなくて累の胸に顔を埋める。
軽蔑されたらどうしようと。こんな話して累に捨てられたらどうしようと。




「……A、面をおあげ」




累の声に恐る恐る顔をあげる。
目を細めて優しく笑みを浮かべる累と目が合う。



「もう泣かないで。僕はAが何者であろうと側を離れたりしないよ。僕は強いから、死んだりなんて絶対しないしAを置いていったりなんてしない。だから泣かないで」



そう言って私の涙を指でそっと掬って微笑む累に私は涙が止まらなかった。



嗚呼、私はなんて幸せな夢を見ているのだろう。



叶うなら


どうか、どうか


夢から覚めないで


.

40、邂逅→←38、夢の果てに



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (294 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
570人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。