検索窓
今日:7 hit、昨日:13 hit、合計:530,174 hit

29、自覚 ページ30

.



お兄ちゃん、か…。
少年の曇り一つない澄んだ瞳を見てなぜだか私は無意識に自分の事を語り始めた。



「私もね、兄…みたいな存在の人がいるの。ずっとその人の元を離れたくて…….やっと離れられたのにずっと気分が晴れなくて…。何をやっても心がモヤモヤするの…」




自分でも驚くくらい弱々しい声だった。



「…君は本当にそのお兄さんの元を離れたかったの?」

「…え?」

「君からは後悔の匂いがする。…君は、本当はお兄さんと離れたくなかったんじゃないのか?」



私は累と離れたくなかった…?

いや、私はずっと累から逃げたかったはずだ。

いつかは逃げようと思って、身体が治ったら絶対に逃げるつもりだったのに…




『_____A』



頭の中で優しく私を呼ぶ累の声がした。

そうだ…累はいつも私に優しかった。累に捕まえられた時はボロボロにされたが、それ以外は累は他の家族にしているように私に暴力を振るうことはなかった。

我儘を言っても溜息を吐きながら出来る限りのことはしてくれた。
いつも頭を撫でてくれて、寝る時は私を優しく抱きしめてくれて…。

最初はなんとも思ってなかったが私はいつの間にか累の側が居心地良くなっていた。

累と一緒にいると楽しくて毎日満たされていた気がする。

逃げようなんて考えはいつのまにか消えていたんだ。



そうだ…私は認めたくなかっただけだ。


私は死んだお兄ちゃん以外を兄と思うのを認めたくなかっただけなんだ。


私はいつのまにか累のことを本当の兄みたいに思っていたんだ。



私はそれを認めたくなくて本当の気持ちに無意識に蓋をして気づかないフリをしてたんだ……



.

30、竈門炭治郎→←28、虚無感



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (294 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
570人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 ,   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。