20、焦燥 ページ20
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声がした瞬間、首への締め付けがなくなり誰かに抱きしめられる感覚がした。
目を開ければ、累が私を抱き抱えていた。童磨の方を見れば私の首を掴んでいた腕は吹き飛んでいて血が吹き出ている。
「…る、い」
掠れた声で累の名前を呼べば、返事はせずぎゅっと抱きしめる力を強めた。
めちゃくちゃ累が怒っている。殺気が凄すぎていつもと違う累にさすがの私もちょっと話しかけづらい。
「おお、累くんじゃないかあ。久しぶりだねえ。まさか累くんの妹だったとは知らなかったよ。妹は鬼にしないのかい?」
「お前に関係ないだろ」
笑いながら問いかける童磨に累はバッサリと切り捨てる。それに対して童磨はさほど気にしてない様子でまた喋りはじめた。
「兄弟揃って俺に冷たいなあ。まあいいや、時間はたくさんあるしね。今日はすごく楽しかったよ。
また会おうね、妹ちゃん」
「今度妹に近づいたら殺す」
累が酷く冷たい声でそう言えばハハ怖いなあと全く怖がってない様子で笑いながら童磨は去っていた。
もう二度とくんなよ、と童磨が居なくなってからぺぺぺッと童磨が消えた方に向かって唾を吐く。
そんなことをしていたら累が力強く抱きしめてきた。力が強すぎてもはや痛い。
「いたたた…!累痛い」
私がそう訴えても累は無視して抱きしめ続けていたがやっと口を開いた。
「…なんで逃げたの?」
心臓がドキッと跳ねる。
やっぱり逃げたと思われてたか。どう説明しようかな。ただ人を斬りたかっただけなんて言っても信じてくれるかどうか。
どう説明しようか考える。この間の沈黙が痛い。なんだか累の雰囲気が怖い。怒ってるんだろうか。
いつもだったらスラスラ出てくる言葉も何故だか今は出てこない。
なんだか顔を見るのが怖くて顔を見ないように上手い言い訳を考えてたら累が先に口を開いた。
「……いいよ、もう」
「え…?」
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時