32、鬼舞辻無惨 弐 ページ34
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確かに鬼になったら強い身体が手に入るかもしれない。
でもそれと同時にデメリットが多すぎる。陽の下を歩けないし頸斬られたら死ぬから不死身じゃないし。なにより人間の頃の記憶がなくなるかもしれない。現に人間の頃の記憶を持っている鬼は少ない気がする。
私は累との思い出を、忘れたくない。
本当はこんな手使いたくないのだが、状況が状況だから致し方ない。
本当は色仕掛けなんて苦手なんだけどなあ
「……貴方様のお名前を教えていただけませんでしょうか?」
「…無惨だ。」
「そう…無惨様と仰るのですね。」
頰を染めてにこりと微笑む。そのまま無惨に近づきそっと頰に触れた。
「とても綺麗な紅梅色の瞳ですね。…それに貴方の声は聴いててすごく安心します。」
無惨は目を見開き驚いたようにこちらを見ている。そのまま私は無惨の胸に寄り添った。
「なぜだか貴方とは初めて会ったとは思えない…。懐かしい気持ちになります。私はこの気持ちを大切にしたい。鬼になったら人間の頃の記憶をなくす鬼もいると聞きます。私は今貴方に感じたこの温かい気持ちを忘れたくはありません。だから…私は鬼にはなりたくありません。」
どうか私を人間のままでいさせてくれませんか?そう言って無惨へ顔を向ける。
全力で儚げな少女像を演じきる。バレれば即死だ。困ったように眉を下げて少し瞳を潤ませて無惨を見上げれば無惨は何故かピクリとも動かない。
えーこれ死ぬかな?私死ぬかなー?それか鬼にされちゃうかな?どちらにせよバッドエンドでしかないじゃん。
てかいつまで黙ってるのこの人。おい、なんとか言えよ。こちとらこれで生死が決まるんだよ。
ドキドキと無惨の反応を待つ。全然反応がないので待てなくて私から小さく声をかけた。
「あの…無惨様…?」
「…………いいだろう。お前は人間のままでいろ。だが…、
お前には私の妻になってもらう」
「は?」
思わず本音が出てしまった。つま?つまって何?もしかして妻?いやいやないない。聞き間違いに違いない。
「妻ってあの…夫婦てことですか?」
「ああそうだ」
「……」
絶句。もはや絶句だ。言葉がでない。
まさか鬼の頭領に求婚されるとは。全く嬉しくない。
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たぴ(プロフ) - こなみさん» どストライクなんて…!ありがとうございます(号泣)頑張って描いたんで嬉しいです!応援ありがとうございます…! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - カカオお豆さん» カカオお豆さん…!いつも嬉しい感想ありがとうございます!更新もりもり頑張ります! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
こなみ(プロフ) - 夢主ちゃんの絵見たんですが可愛すぎて鼻血でました。ドストライクです!次の話の予告も夢主ちゃんどうなっちゃうのかめっちゃ気になってしにそうです…!陰ながらいつも応援してます!! (2019年10月21日 19時) (レス) id: 8bdb7f5122 (このIDを非表示/違反報告)
カカオお豆(プロフ) - 予告の作り方上手くないですか!?めっちゃ気になるんんンンン!!!便新頑張ってください! (2019年10月21日 18時) (レス) id: 5ddd851753 (このIDを非表示/違反報告)
たぴ(プロフ) - らにさん» わわわ嬉しい感想ありがとうございます…!一番好きだなんて嬉しすぎて泣きそうです(泣) (2019年10月19日 12時) (レス) id: 8bf0134465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たぴ | 作成日時:2019年9月1日 11時