44話:〇 ページ49
それまで変わらなかった彼女の表情が驚きで染まったのが新鮮で、思わず涙が少し引っ込んだ。
奏子さんは続けて言う。
『…蜜璃、確かに私はまだ義勇にはちゃんと会えていないわ。でも、顔を見ることが出来た。生きているのか死んでいるのかも定かじゃなかった頃に比べたら、この上なく幸せなのよ?』
確かに、そうかもしれないけど…
蜜「でも、それじゃあ…会えなくて…お姉ちゃんとして会わなくて…いいの?」
私がそう聞くと、奏子さんは顔を伏せて言った。
『…正直、嫌だわ。でも、今の私には姉として義勇に向ける顔がないのよ…。』
そこで、ずっと黙って話を聞いていた伊黒さんが口を開いた。
小「顔向けできる、できない、の話なのか?」
伊黒さんの指摘に、奏子さんは顔を上げる。
『…え?』
小「…顔向けできるかできないかの話なのかと聞いている。冨岡…弟の気持ちは考えたのか?お前の話を聞く限り、弟からすれば、2人の姉が自分を守り、そのせいで1人は行方不明に、もう1人は死んだ、という解釈になっていてもおかしくない。…そのことで自分を責めていてもおかしくない。」
『…!』
小「今気が付いたのか?それでもお前は本当にあれの姉か?というか、なぜ俺が姉弟の橋渡しなどという面倒事に関わらなければならない、それくらいのこと、少し考えれば分かるだろう。お館様に鬼殺隊最強と謳わせておきながら…先程から話を聞いていれば、阿呆としかとれぬ発言が…」ネチネチネチネチ
い、伊黒さんがまたネチネチしてるわ…素敵…←
『…そっか…そうよね…』
一方の奏子さんは、伊黒さんの言葉を聞いてから少し考え込むように俯く。
もしかして、傷付いてしまったのかしら…伊黒さん、とってもいいことを言う所は素敵なんだけど、言葉遣いが時々荒いのよね…←時々じゃないよ密璃さん
蜜「奏子さん、そんなに落ち込まないで…?伊黒さんも悪気あって言ったわけじゃないのよ?…?」
そう声をかけるも、奏子さんは俯いて考え込んだまま。
蜜「奏子さん…?」
『そっか…!そうよね…!』
私が不思議に思って声をかけたのと、奏子さんの嬉しそうな声が重なった。
見ると、奏子さんの表情は、先程とは大きく変わっていた。
綺麗な青色の瞳を輝かせて、さっき微笑みをたたえていた口は大きく弧を描いている。
その表情は…彼女が幼い日によく見せていたであろう、子供のような笑顔だった。
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じゃんみく(プロフ) - 月花月さん» 最近更新遅めになってしまっているので、近々更新します!!コメント&応援ありがとうございます! (2020年6月26日 13時) (レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
月花月 - 続きが楽しみです、頑張って下さい (2020年6月26日 11時) (レス) id: 31b75cec07 (このIDを非表示/違反報告)
じゃんみく(プロフ) - 蒼歌さん» ありがとうございます!頑張ります!! (2020年6月6日 7時) (レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼歌(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張ってください! (2020年6月6日 2時) (レス) id: d00a66556b (このIDを非表示/違反報告)
じゃんみく(プロフ) - 鮭大根になりたいさん» うわあぁ、すみません、途中からお館様の「私が」が「僕」になっていました...。ご指摘ありがとうございます!!修正させて頂きました!応援ありがとうございます!頑張ります! (2020年5月25日 22時) (レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:じゃんみく | 作成日時:2020年5月2日 16時