27話：〇 ページ30
カナとともに来た道を戻りながら考える。
洗練された剣技。戦闘中の、仲間である僕に対する絶対的な信頼。
彼女の、面の中から見えた綺麗な青い目。
無「無一郎、でいいよ。」
気が付けば、そう口に出していた。言ったことに後悔はしていない。
『…え？』
カナが聞き間違いかとでも言うように聞き返す。そうなるよね。僕も自分の言ったことに若干驚いてる。
無「僕の…記憶が正しければだけど、カナ。君は僕達柱の信頼を得たいんでしょ。それに、お館様も、それを望んでいた。」
何で僕、こんなめんどくさいことを自分からしてるんだろう。いつもなら任務が終わり次第さっさと帰るのに。
『そ、そうだけど…本当にいいの？』
無「いいよ。だけど、１つだけ、教えて欲しいことがある。交換条件。」
僕がそう言うと、カナは分かりやすくその場に固まった。
『な、なに？』
無「そんな固まらなくてもいいよ。簡単なことだから。」
『う、うん。』
無「カナ、君の、
本当の姿ってどんな？
岡田カナって本名じゃあないでしょう。」
『…！』
ずっと気になっていた。
他人のことなんか気にすることがない、自分のことですらどうでもいいと思っている僕が。
彼女を気にかけている。
彼女は、何かを偽っている。
羽織や手袋に隠され、僕からは見えない肌。仮面の内側から聞こえる、くぐもった声。
柱合会議で初めて彼女を見た時から、違和感を感じていた。
無「僕は、不思議なことに、もう君を信頼してる。さっき鬼の背後から攻撃しようとした僕に危険だからやめろとわざわざ止めたことも、君を信頼する1つの理由だとは思うけど。」
でも、普段の僕なら、そんな簡単には人を信じない。彼女が何かを偽っているなら尚更。
無「だから、教えて欲しいんだ。」
彼女は、しばらく俯いて、何かを考えているようだったが、おもむろに顔を上げた。
そして同時に、彼女から血鬼術の気配がした。
『ありがとう�猝軌賚梱瓠�
発せられた声は、今までの…岡田カナの声と、全く違うものだった。
血鬼術で、隠していたのか…？
『炭治郎といい、無一郎といい、なんでそんなに鋭いのかねぇ…。今まで気付かれなかったのが嘘みたい。流石ね。』
言いながら、彼女は羽織を脱いで、面をとった。
『無一郎の言う通り、岡田カナは本名じゃない。』
出てきた顔は。
あの寡黙な同僚にとてもよく似ているものだった。
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じゃんみく(プロフ) - 月花月さん» 最近更新遅めになってしまっているので、近々更新します！！コメント＆応援ありがとうございます！ (2020年6月26日 13時) (
レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
月花月 - 続きが楽しみです、頑張って下さい (2020年6月26日 11時) (レス) id: 31b75cec07 (このIDを非表示/違反報告)
じゃんみく(プロフ) - 蒼歌さん» ありがとうございます！頑張ります！！ (2020年6月6日 7時) (レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
蒼歌(プロフ) - 続き楽しみです！更新頑張ってください！ (2020年6月6日 2時) (レス) id: d00a66556b (このIDを非表示/違反報告)
じゃんみく(プロフ) - 鮭大根になりたいさん» うわあぁ、すみません、途中からお館様の「私が」が｢僕｣になっていました...。ご指摘ありがとうございます！！修正させて頂きました！応援ありがとうございます！頑張ります！ (2020年5月25日 22時) (レス) id: eec2b385f7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じゃんみく | 作成日時：2020年5月2日 16時
