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10話 ページ10

少し悩んで、2人に私のタオルケットをかけようと立ち上がり近づけば、目を開けた妓夫太郎くんが、私の事を突き飛ばして上に乗った。急なことに頭をテーブルにぶつけ痛いが、上に乗ってきた妓夫太郎君のせいでお腹も押しつぶされなんならもれなく首に手がかかって、締められていた。
フーッフーッ、と興奮したように息を荒くしている妓夫太郎の手に力が加わる。やばい、これは死ぬ。

「お兄ちゃんっ!!!」

梅ちゃんの声が聞こえる。
そうだ、私はわかっているようでこの2人のことを分かっていない。彼らは生きていくためにどうしたらいいのか分からないのだ。お互いがお互いを守るために生きてきた。
お昼の時だってそう。土下座してきた妓夫太郎くんはあの時の最善があれだった。今の最善はこれ。
常に今を生きるための、行動を迫られているのだからその時で対応だって態度だって変わる。

「お兄ちゃんってば!!」

梅ちゃんの声は届いてないようだった。本気で殺そうとしてるんだもん。タオルケットなんて存在知らないから、誘拐するための布と思ったかもしれない。
いいもの食べさせて、売り飛ばす人とかいそうだもんね。
私の行動が安易なのが、いけない。
土下座して震えた時だってそんなこと思ったはずなのに、私の学習能力の低さに呆れてきた。
大丈夫、大丈夫。私にそんな度胸ないから。
何とか力を入れて、妓夫太郎くんを抱き締める。急なこと首を絞めていた手の力は緩くなり、咳き込みながら、妓夫太郎くんの背中を軽く叩く。

「おまえっ…!!」

私の腕から離れた妓夫太郎くんの声に反応出来ず、酸素を求めて咳き込む私を2人は見ていた。
ほんとにあと少し行動が遅かったら死んでいたかもしれない。生きてきた環境が違うんだな、と改めて思い知らされた。
咳が少し落ち着いた頃、2人と向き合う。

「ごめんね」

私と言葉に2人がびくりと反応する。

「寒くないかな、ってこの布を掛けてあげようとしたの。でも2人はまだ私のこと怖かったんだね」

首に違和感があるが、大丈夫そうだ。ゆっくりと立ちあがる。2人の心が、主に妓夫太郎くんだが。彼の心が開くまではあまり一緒じゃない方がいいかもしれない。
ワンルームだが、リビングと台所のところに扉が1枚あるので、私は廊下で寝ることにしよう。
今度こそ反省を活かそう。

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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時

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