4話 ページ4
「あのね」
私の言葉に動きが止まる。怯えさせても意味がない。彼らの境遇を知っているのだから、そんなことをしても警戒心を強くするだけだ。妓夫太郎くんを下ろして、2人の前に座る。
妓夫太郎くんはすぐに堕姫ちゃんを私から離す。
堕姫ちゃんが全力で噛み付いた足は鬱血していた。
「お腹、空いてるでしょ?」
そう聞くと堕姫ちゃんのお腹がなる。頬を赤くして
妓夫太郎くんの後ろに隠れる姿は大変可愛い。
「もう近づかないからご飯だけ食べて。2人が食べないなら捨てちゃうから」
それだけいって、立ち上がる。足を踏み込む度にじくじくと痛む。単身用のマンションなので、部屋の数も少ない。仕方ないのでトイレに引きこもることにした。
携帯で子供の育児について調べる。そして気づいた。
「スプーンとフォーク以前に箸使えるの?」
しかも割り箸。大きすぎて使えないのでは?
え、今頃机の周り悲惨なのでは??
確かめに行きたい…でももしいま食べてたら……
いやもう絨毯は犠牲にしよう。どうせ買い直したいなって思ってたんだし。
そして2時間トイレで過ごした。
意を決してゆっくり扉をあける。隙間から除けば、テーブルの上のものはなくなっていた。そして案外机の上は綺麗だった。
「なるほどね、箸を使うって概念からか」
再び隅っこに固まってる2人は手で食べたようだった。
これは私の配慮がなかった。ご飯はおにぎりとかにしてあげればよかった。当たり前のように箸を使えると思った私が悪かった。それでも全部綺麗に食べていたので安心した。
相変わらず警戒されているが。
食器を下げ、洗う。その間も2人は動かなかった。
「次はお風呂にいれたいけど」
そんなに上手くはいかないだろう。食事であんなに暴れたのだから。シンクに体を預け、2人をみる。
そういえばこの2人は普通の子供のような力なんだな、と思う。アニメで見ていた妓夫太郎くんだったら今頃私も死んでいたはず。しかし持ち上げた身体の軽さは普通の子供よりも軽かった。その点は原作と同じなのだろう。
雪の中で冷たくなった堕姫ちゃんを抱えていたあのシーンは思い出してもグッとくる。
まあその後鬼になって人殺してるけど。
「ねえ、君たち名前は?」
その声に2人は無言を突き通す。
「私Aっていうだけど」
うーん、反応なし。育児についてではなく、懐かない猫について調べればよかった。
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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時