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2話 ページ2

※元々短編にあったやつを移動させてます。



「お兄ちゃん!どうするの?こいつ殺す?」
「今考えてんだよ。鬼の力も使えねぇし、体は子供に戻っちまってるし」

鬼、という単語でそれは確信にかわった。
世間を賑わした人気作品。だいぶ前に終わったはずのアニメだが職場の人に進められ最近になって観終わったものだった。目の前の子達は堕姫と妓夫太郎なのでは……?
しかしどうして目の前にいるのだろうか、アニメのキャラではなかったのか…?
白肌に白い髪。緑の混ざった黒い髪。痣は無いようだけど…
わたしは思わず頭を抱えた。酒を飲みすぎた幻覚かストレスが見せる幻覚か。アニメのキャラがここにいるはずない。
その時目の前から倒れる音がした。

「梅!!」

その声に顔を上げれば、女の子が浅く息を吐き倒れていた。男の子は体を揺らし叫んでいた。これはまずいと男の子を離す。

「おいっ!梅に触るな!!どうするつもりだ!!梅に何かしたら俺がお前を殺すからなっ!!」

梅ちゃんを抱きかかえようとするが、私の手を離そうと妓夫太郎くんは私を殴る。全力なのか、痛いがそんなことを考えている場合ではない。

「いいから大人しくして!!ほんとに死ぬかもしれないでしょっ!!!」

思わず大きな声が出た私、妓夫太郎君はびくっと動きを止めた。その間に布団に寝かせ、冷えピタを額に貼ってあげる。体は熱く、恐らく雨の影響と緊張から発熱したのだろうとおもう。

「さむい…おにいちゃん……」

目を閉じたまま呟く声に布団をかける。お腹を優しく叩き、眠りを促す。しばらくすると寝息が聞こえてくる。
とりあえず一安心かな、と振り返ると、心配そうな顔をした妓夫太郎くんがいた。

「とりあえず話を聞いてほしいの。そしてあなた達のことも教えて」

やはり彼らは私の知っている子達だった。ここに来る前のことは覚えているがどうしてこの姿で、ここにいるのかなどは全く知らないらしい。

「梅は大丈夫なのかよぉ……」
「大丈夫だよ、きっと長時間雨にあたってたし、緊張とかもあって熱がでたんだろうね。休んでたら悪化はしないよ」

自分のことより梅ちゃんを優先するところはやはり妹思いなのだな、と感心する。アルコールはすっかり抜けて頭はすっきりしていた。

「とりあえず今日はもう寝て、明日また詳しく話そう」

妓夫太郎くんを無理矢理梅ちゃんの横に寝かせ、私は現実逃避がてら眠りについた。

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作者名:めろん | 作成日時:2024年3月19日 3時

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