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嬉しいはずなのに胸が痛い 煉獄side ページ38

「し、師匠?」

「今は師匠ではないぞ。」


俺はAの瞳から
目が離せないでいた。
初めて瞳を見た時もその美しさに
目を奪われた。


そしてこの桜色の唇。
小さいがふっくらと艶々している。
その唇の隙間から見える白い歯。


不意にAが俯いた。


白い頬がほんのりピンクに
染まっている。


誘われるように顔を近づけると
俺はAに口付けていた。




!!!



次の瞬間、自分が何をしているか悟り
慌ててAから離れた。



「す! すまない!!
一体俺は…。」


Aはこれから命をかけて
この世界のために強くなろうとしている。


それなのに俺は…。


胸がくすぐったいような、熱いような痛いような
初めての感情に戸惑っていると
Aが何事もなかったように
「傷の手当て、ありがとうございました。
あと今日は何を修行したらいいですか?」と
聞いて来た。


「…う、む。
腹筋、腕立て伏せを各1000回と
竹刀を持って素振り5000回の予定だ。」


「分かりました!
庭でさせていだだきます。」


そう言うとAは真っ赤な顔で
ニコリと微笑んで走って庭に出た。


目に涙を溜めながら。

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作者名: | 作成日時:2020年12月25日 6時

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