18 ページ19
.
.
絵具を持って、無一文で追い出された俺は、とりあえず近くの山へ向かった。
両親のことがすぐに知れ渡ってしまったのだ。俺自身あの町は好きではなかったし思い出もなかった為、足取りは軽かった。
俺の絵で稼いだ今までの大金は、無くなっていた。両親が変な買い物とかに使ったのだろう。別に良いけど。
それよりも
『これで、思う存分絵が描けるぞ、、、!!!』
るんるんに上機嫌だった俺は、山で色々な生き物を描いていた。
そんなある日の夜。
初めて 鬼 の姿をみた。
下級の鬼だろうか。迷い人を喰っていた。
その様子を、静かに息を潜めながら絵を描いていた。
不思議と俺のことは見つからず、何度も何度も鬼の姿を描いていた。
絵具が尽きて、自分の血で描いていたところだった。血の匂いでバレたのだろう、あっさりと鬼にやられてしまった。
雪山を必死に、駆け巡った。猛吹雪の日だった。
(死にたくない死にたくない死にたくない、まだ絵を描きたい、描いていないものがあり過ぎる)
猛吹雪のお陰で、鬼から逃げ切れた。しかし、襲われた時に左腕を失ってしまった。このままだと出血多量で死ぬだろう。
ぼふっ、と雪に倒れ込む。どんどん息が浅くなっていってた。
(いやだ、まだ、絵を描きたい、
まだ、描いてない、
俺が描きたいのは、あのひとの、)
「絵描きの噂を聞きつけてやってきたら、こんな所で死にかけているではないか。」
朦朧とする意識の中、顔をあげると真っ赤な瞳がそこにあった。
「貴様も鬼になるのだ。
そうすれば、永遠に絵を描き続けることが出来るぞ。
鬼となれば、無限の刻を生きられる。」
『絵、かける、の、、、?』
途端、ドクンと、大きく心臓が波打つのと同時に意識がなくなった。
.
気がついた時には、失っていた左手は元通りになっており、右手には筆が握られていた。
辺りには、誰もいなかった。
.
『おなか、すいた、』
.
.
172人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
胡蝶有希(プロフ) - 完結おめでとうございます!!この作品大好きで、何度も読んでました!!また何かの作品でお会いできることを楽しみに待っております!!お疲れさまでした!!(^^) (6月7日 10時) (レス) @page25 id: 90be65bd07 (このIDを非表示/違反報告)
こけこっこー - 鬼滅と男主って最強じゃぁないっすか…しかも夢主超好み…更新待ってます!! (6月3日 22時) (レス) id: ad3ffaf6ef (このIDを非表示/違反報告)
ミチルンルン(プロフ) - 更新楽しみにしてます✨ (2023年4月29日 23時) (レス) @page10 id: 107ef6d634 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:成瀬 | 作成日時:2023年2月5日 18時