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年月が経つのは、早いものだ。あっという間に5年が経ち、俺は15歳の青年へと成長していた。
絵の文化が前より浸透し、俺は立派な絵描きの道を辿っていた。
日本各地で高額で販売される俺の絵は、どれも細かく煌びやかに、輝くような絵であると評価されていた。
相変わらず " うごかないもの " を描き続けていた俺であったが、等々両親にバレてしまった。
両親は踏み入れない、俺の絵描き部屋には。紅く染まった、5年分の " うごかないもの " の絵が散りばめられていた。
きっかけは、近所に住むお婆さんの言葉だった。
(( おたくのAくん、気味悪い絵ばっかり描くねぇ。
なにも、血だらけのご遺体を動かしてまで絵を描いているんだからねぇ。気味悪いったらありゃしないよ。
兎や犬を見つめている所は何度か見たことあったけども。手を合わせているのかと思っていたら、絵を描いていたんだねえ。
Aくんが描いている、そういう絵を売っているのかい?ずいぶんとまあ、物好きな人もいるんだねえ。
この町で、Aくんのことを知らない人はもういないさ。なんせ気味悪い絵を笑顔で描く、好青年だからね。))
絵具を取り上げられた。
怒声を浴びせられた。
たくさん、殴られた。
今までの " うごかないもの " の絵は破り捨てられた。
それ以外の絵は全て売られた。
俺の部屋は、なにも、無くなった。
「俺たちはそんな絵を描くように育てた覚えはないぞ」
「お金は充分稼いだわよ。Aはこのまま閉じ込めとけば、気味悪い絵も描かないわ。絵具も取り上げたし。」
「俺たちの印象を悪くしやがって。
お前は恥だな。
絵を描くことしか、能がなかったのに。それすらも無くしてしまった。何も無いな。」
そう言い捨てられ、戸を閉ざされた。
真っ白な紙と、質素な家具のみになった、自室。
がり、と爪を噛んだ。
『、、、描きたい。』
がきん、と折れた爪から血が流れる。
ぼたぼた、と流れ落ちる血を見て、口角が自然と上がった。
『、、、ふふ、なんだ。
まだまだ描けるじゃん。』
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胡蝶有希(プロフ) - 完結おめでとうございます!!この作品大好きで、何度も読んでました!!また何かの作品でお会いできることを楽しみに待っております!!お疲れさまでした!!(^^) (6月7日 10時) (レス) @page25 id: 90be65bd07 (このIDを非表示/違反報告)
こけこっこー - 鬼滅と男主って最強じゃぁないっすか…しかも夢主超好み…更新待ってます!! (6月3日 22時) (レス) id: ad3ffaf6ef (このIDを非表示/違反報告)
ミチルンルン(プロフ) - 更新楽しみにしてます✨ (2023年4月29日 23時) (レス) @page10 id: 107ef6d634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2023年2月5日 18時