紅 絵 。 【鬼滅の刃 / 男主】

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俺は、ごく普通の家庭に生まれた。



共働きの両親。美味しいごはん。何不自由ない生活だった。



5歳の時だっただろうか。父親に連れられ町を歩いていた。ふと目に止まったのは、ひとつの浮世絵。




はじめて、こんなに綺麗な絵を見た衝撃で、しばらくその場から動けなかった。




それから、絵に夢中になるまでに時間はかからなかった。




父親にお願いすると、筆と紙が与えられた。




道端に咲いている花や動物。父親と母親の姿など。




目に見えるもの、全てを夢中になって描いていた。




6歳を迎える頃には100枚以上の絵を描いていた。




その頃には絵具を両親から授けてもらい、色のついた絵も描くようになった。





8歳の頃だろうか。





家の前に飾ってあった、俺が描いた1枚の絵がとある画家の目にとまり、買い取らせてくれと声がかかった。





その時から、両親が俺に向ける目が変わった。





期待と、金を求める、強欲な目。





毎日毎日、絵を描かされた。





今まで好き好んで描いていた絵は、売れないからと押し入れの奥底に。





地域で1番でなかった絵は、破り捨てられた。





1番でないと、だめだった。





俺は、ただ自由に絵を描きたいだけなのに。





豆ができた両手と、使い古した筆と真っ白な紙を見つめる毎日だった。





そんな日々を過ごして、あっという間に2年が経った。





ここで、俺の中にある感情が芽生えたのだ。





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