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【炭治郎 side】
「お兄ちゃん!」
聞きなれた、大好きな声ではっと目が覚める。
「あれ、ここは、、、」
体を起こすと、綺麗な青空と花畑が広がっていた。花畑では、善逸と伊之助が駆け回っていた。
たしか俺、、、、
「あれ、何してたんだっけ、」
「もう!!
綺麗なお花畑があるって、お兄ちゃんが言い出したんでしょ!」
ぷく、と頬を膨らませて禰豆子は言う。
そうだっけか。禰豆子が言うのなら、そうなんだろう。
善逸たちの元に行こう、と立ち上がると視界の隅にもう1人誰かがいることに気がついた。
ふと横を見ると、10歳前後であろう少年が紙になにかを描いているようだった。
「ねえ、何描いてるの?」
隣に座り込んで尋ねると、少年は紙から目を離さずに『はちさん。』と小さく答えた。
はちさん、、、?と呟くと少年が指さした先には、花の上に蜂が止まっていた。しかし、ピクリとも動く様子もなく、既に死んでいるようであった。
「なんではちさん描いてるの?こっちに綺麗な蝶々もいるよ。」
『ちょうちょさんは動き回るから描けないの。
このはちさんは動かないから描きやすくて、すき。』
「でも、死んでるんだよ?
死んだ生き物より、生きている方がいいんじゃない?」
そう言うと、少年は動かしていた手をとめて顔を上げた。金色に輝く彼の瞳に吸い込まれそうだった。
『じゃあ、お兄ちゃんが、しんでくれる?』
その言葉とともに、真っ赤に染まった蜂の絵が俺の目に入った。
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ぐらんぐらん、と揺れる感覚に、息を吸い込んだ。
「ッ炭治郎!!!動けるか!!!」
切羽詰まった義勇さんの声に、唾を飲み込みながら頷く。
『え〜まってよ逃げないでよ〜!!!
幻影絵画から逃れた人は初めてだ、絶対に描きたい!!』
振り返ると、大きな筆を持ちながら追いかけてくる鬼がいた。
"上弦"とかかれた彼の光り輝く金色の瞳は、幻影の中で見た少年の瞳と、どこか重なって見えた。
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胡蝶有希(プロフ) - 完結おめでとうございます!!この作品大好きで、何度も読んでました!!また何かの作品でお会いできることを楽しみに待っております!!お疲れさまでした!!(^^) (6月7日 10時) (レス) @page25 id: 90be65bd07 (このIDを非表示/違反報告)
こけこっこー - 鬼滅と男主って最強じゃぁないっすか…しかも夢主超好み…更新待ってます!! (6月3日 22時) (レス) id: ad3ffaf6ef (このIDを非表示/違反報告)
ミチルンルン(プロフ) - 更新楽しみにしてます✨ (2023年4月29日 23時) (レス) @page10 id: 107ef6d634 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:成瀬 | 作成日時:2023年2月5日 18時