84 突き動かすのは ページ39
建物が崩れるような音
血の匂い
そしてヒノカミ神楽の匂い
炭治郎は一人で戦ってる？
この間よりももっと濃いヒノカミ神楽の匂いがした
また 炭治郎は無茶しているかもしれない
長男だからと無茶をする
それは昔から変わらない
はやく行かないと…
人間には二つの限界がある
「体力の限界」を迎えると人は
苦しくて動けなくなる
目から血を流すほどの強い怒りで苦しみや痛みを
忘れ動けたとしても
次に来るのは 「命の限界」
当然ながらこれを超えると人は死ぬ
この限界値を1秒でも伸ばし
鬼と渡り合うために私たち鬼殺隊は
幾星霜幾星霜 血反吐を吐くような努力をしている
炭治郎 もう少しっ
もう少し耐えて！
その時 ふわっ と禰豆子の匂いがする
でもその匂いは怒りの匂いが混じっている
ダメだ 禰豆子
禰豆子が怒りの感情に任されれば
鬼に近づいてしまう！
鬼は怒りが無限に体を突き動かす
敵の肉体がこの世から消えて無くなるまで
禰豆子の匂いがだんだん薄れていく
やめろ
『禰豆子ォォォォ！！』
そして私の感情も限界を超える
冷静を装うのはやはり無理だ
命よりも大事な姉妹だ
禰豆子は何があっても守らなければならない
私は地をこれまで以上にはやく蹴った
宇髄さんを取り残すほどに速く
そして目にしたのは
ツノが生え 目は血走り
身体中には葉のような紋様が出来て
完全に鬼化が進んでいる禰豆子が
人に襲いかかる瞬間だった
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作者名：癒姫 | 作成日時：2019年8月13日 11時
