鬼の瞳隠して人の瞳隠さず

捌話 ページ47

...A視点...






美術室に来て三十分が経過していた





だいぶ今描いている絵も完成に近づいてきた



でも、何かが足りない気がする...






筆を一回置き、少し考えていると後ろ声が聞こえてきた




宇「おー、結構出来てんじゃん」




プゥっと風船ガムを膨らましながらそう言ってきた






顔を見ると、最初の時より顔に付いている絵の具が増えていた



あ、でも髪は綺麗になってる...




『宇髄先生、この絵何か足りない気がするんですけど...』






こういう時は先生に聞くのが一番だ








宇髄先生が暫くキャンバスを見ると、私が使っていた絵の具の青色を取り出した







宇「ここにさ、青を足すと良いと思うぜ」






『青色...』








宇髄先生に言われ青色を背景に付け足すと印象が変わり良くなった





流石、まぁ一応先生だし...







宇「どうするその絵、どっかのコンクールに出品するか？」






宇髄先生は引き出しからコンクールのプリントを何枚か出し、私に見せてきた






『...今回は良いです』






なんか...そういう感じじゃないし...




今回はいいや...







宇「そうか？んじゃあそろそろ掃除に移るぞ」






...忘れてた








美術室の隅にまとめられている瓦礫



これを全部校庭に運ばなくてはならない





この学園に来てこの作業をするのは三回目だ...そろそろ止めてほしい...







宇「おいおい、そんな顔すんなって。こんな瓦礫、俺様がいれば直ぐに終わるぞ」



『なら最初から壊さないで下さい』



宇「それは無理」








結局私も渋々瓦礫を運び出した



一個が大きいし重いので一個ずつでしか運べない





『重い...』




宇「おい藤鬼ィ、ちゃんと喰ってんのか？情けねぇぞ〜」







宇髄先生は一気に四・五個の瓦礫を運び出している





...流石にそれは無理...







『私いらなくないですか？』




宇「別にいいじゃねぇか」









宇髄先生と会話していると校庭に着いた




校庭にあるゴミ捨て場に瓦礫を積み上げていく







『疲れた...』




まだ一個しか運んでないけど凄く疲れた



汗もかいてきたし...





宇「バテるには早ぇぞ！あとこれを何回か繰り返すしな！」






『転部、しようかな...』

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