鬼の瞳隠して人の瞳隠さず

肆話 ページ5

...A視点...






拓「...え？」



拓也さんが思わずそう声を出した




『隠してるつもりなら暴露てますよ。鬼だということは会った時から気配で分かりました』




拓「...」




わたしはそのまま話を続けた




『血鬼術でうまく牙や角を隠してたと思いますが、そんなの直ぐに分かります』





拓也さんは俯いて黙っていた





そして...彼が顔を上げると...


.



.



笑顔だった






？「そっかぁ...バレちゃったかぁ〜...ちゃんと隠せてたと思ったのになぁ...にしても、君強いね。柱？」






暗い小さな小屋の中で彼の瞳が光った



窓から差し込んだ月の光で彼の姿がハッキリと見えた



額からは角が生え、鬼の特徴である牙と鋭い爪がある



凰「俺の名前は凰牙(おうが)。あの鬼を殺してくれてありがとう。お陰で手間が省けた。」



『...』









私はチャキっと刀を構える



さっさと殺してしまおう





凰「あ、勘違いしないでくれよ。若菜は正真正銘俺の実の妹だ。もう少し肉付きが良くなってから食べる予定だったけど...生憎、あの鬼が喰いやがってね...」





つまり凰牙さんはあの鬼を運良くきた鬼狩りの私に殺させ、自分はまた人間を喰い続けようとした



許せない



ただそう思った






凰「だけど俺はこんな所では死ねないんだ。だから君には死んでもらうよ...」





凰「血鬼術


一場春夢(いちじょうのしゅんむ)」





彼がそう言い手を上へかざすと真っ赤な無数の針が私の方に向かって降ってきた




私はそのまま針をうまく躱し小屋の屋根まで飛び移る



真っ赤な針は地面に刺さった途端、ボロボロと灰になって消えていた


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大正コソコソ噂話

凰牙(拓也)さんと若菜さんは近所の人からよく「2人共いつも一緒にいるね」と言われるほど仲が良い兄妹でした。

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