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64 愛とは? ページ25

私は目の前の不死川さん…実弥さんに、目を見張る。



実弥さんは、私が名前を呼ぶと、トロンとした目で私の頬を包みながら、私を見上げてこう言ったのだ。




実弥「……いいなァ、それ」




どくん、と私の心臓が大きな音を立てて鳴る。

きゅううぅ、と締め付けられて苦しい。


そして、無性に実弥さんに抱きつきたくなる。




私は数日に一回、血を摂取しなければ発作が起きる。

そしてたまたまそれが今日だった。


今にも人を襲いそうだったから、実弥さんに血をくれと頼んだ。

優しい彼が断ることもなく、私は彼の首に噛み付いた。




でもこんなに可愛いなんて聞いてない。


私の下で、ぼやぁと私を見上げている実弥さんは、任務終わりで疲れているのか眠そうだ。



『…ありがとうございます、助かりました。もう、大丈夫です』

実弥「…そうか?だがなァ、俺は足りない」



熱を帯びたようなその瞳が私を捉える。


ダメだ、逃げないと…。



…食われる。





実弥「…逃げねェのかよ」

『…逃げません』

実弥「今逃げねェと、嫌な目に合うかもしんねェぞ?」

『……それは違います』

実弥「…何が違うんだ?」

『我慢できないのは、私なんです』

実弥「…は?何言って…んっ!?」




私は、実弥さんの口を塞ぐ。

自分の唇で。



思っていた感触よりも柔らかいその唇を、食べるように何度も何度も。



何度か繰り返し、実弥さんを見下ろす。


実弥さんは、首まで真っ赤で。



その顔にまたきゅうぅと胸が締め付けられる。



実弥「…テメェ」

『実弥さん…可愛いです』

実弥「…ちっ」




そして私はぎゅっと実弥さんに抱きつく。





あ、こういうことか。

しのぶさんが言ってたことって。




大好きっていうのは…愛しいってことか。





『…実弥さん、わかりました』

実弥「…あ?何が…んぐっ」

『大好きです、実弥さん』

実弥「それはさっき、聞い」

『愛おしいです、あなたが』

実弥「……へ」


私は、実弥さんから体を離してまた実弥さんを見下ろした。

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ななな(プロフ) - はじめまして!煉獄さん好きでこちらにたどり着きました!不死川さんかっこいい!現世の前の最後の所で煉獄さん出てきて熱くなりました。ありがとうございます!素敵なお話が読めて感動しました。 (2020年12月18日 20時) (レス) id: 2b8106d85d (このIDを非表示/違反報告)
ももすけ - 最後感動して涙が…うぅ…!とても面白かったです! (2020年6月24日 22時) (レス) id: 016e27544d (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - 宙さん» ありがとうございます!まだそれは考えてないので、機会があれば是非笑 (2020年6月21日 9時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます笑でも普通の人間です笑 (2020年6月21日 9時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - え?なにこれ!鬼滅学園編見たくなってくる(°д°) (2020年6月19日 21時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:shiba | 作成日時:2020年6月4日 18時

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