53 滝行修行 ページ14
不死川玄弥side
『うぅ、さびィ…』
雪代と2人で滝行をし始めて数刻。
全く動かない雪代とは対照的に俺はそろそろ限界を迎えて、滝から出て水から上がる。
振り返って雪代を見てみれば、目をつぶって無心で滝に打たれている。
…アイツは、一体何を考えてんだ?
俺と出会ったあの日から、雪代と俺は、毎日稽古や滝行をするようになった。
俺的にも雪代と稽古したりすんのは、凄く勉強になり楽しい。
だが、俺からすれば俺みたいな嫌われ者と絡むアイツの気がしれないのだ。
利益なんて何もない。
A「玄弥?」
『っ!?ゆ、ユキ!?いつのまに…』
A「いつのまにって…ずっと呼んでるのに、ぼーっとしてるから。大丈夫?」
心配そうに俺の額に手を当てて熱を測る雪代の手を取り、真っ直ぐに見つめる。
『…なんで俺なんかと一緒にいるんだよ、テメェ。何の利益もないだろ』
A「何それ。誰かになんか言われたのか?」
『…いや、別に』
A「ゲンこそ何で俺と一緒に稽古してくれたりするの?俺、仮にも鬼だよ?」
『ユキは人間だろ。そんなの関係ない、ユキはユキだろ』
俺がそう言うと、雪代は嬉しそうに目を細めた。
A「俺も一緒だよ、ゲン」
『…え?』
A「俺は、ゲンと稽古したいから、滝行したいから一緒にいるんだよ。利益とかそんなの求めてない。ゲンといたいからだよ。それが答えじゃダメなのか?」
『…それは』
もったいない。
俺にはもったいなさすぎるくらい、嬉しい言葉だ。
A「それに、俺には追い付きたい人がいる」
『追い付きたい人…?』
A「あぁ!その人はとても強いんだ!風のように流れる力強い剣捌きに、屈強な体と心…!!俺の目標であり尊敬する人だ!何より、優しくて可愛らしいんだ!」
『そ、そうか…』
ずいずいと俺に近づきながら饒舌に語る雪代は、興奮気味にぶんぶんと手を振っている。
優しくて風のような人……。
兄貴…。
兄ちゃん。
俺も早く、兄ちゃんに追い付きたいよ。
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ななな(プロフ) - はじめまして!煉獄さん好きでこちらにたどり着きました!不死川さんかっこいい!現世の前の最後の所で煉獄さん出てきて熱くなりました。ありがとうございます!素敵なお話が読めて感動しました。 (2020年12月18日 20時) (レス) id: 2b8106d85d (このIDを非表示/違反報告)
ももすけ - 最後感動して涙が…うぅ…!とても面白かったです! (2020年6月24日 22時) (レス) id: 016e27544d (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - 宙さん» ありがとうございます!まだそれは考えてないので、機会があれば是非笑 (2020年6月21日 9時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
shiba(プロフ) - 白露さん» ありがとうございます笑でも普通の人間です笑 (2020年6月21日 9時) (レス) id: 45bc59818c (このIDを非表示/違反報告)
宙(プロフ) - え?なにこれ!鬼滅学園編見たくなってくる(°д°) (2020年6月19日 21時) (レス) id: a1083db659 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:shiba | 作成日時:2020年6月4日 18時