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38 上弦 ページ41

前方でゴガッと大きな音がする

父さんの匂いがした

父さんの神楽の匂い

あぁ 炭治郎は正しく使うことができるんだ


そして鬼はのたうちまわって

汽車はバラバラに横転する


出来るだけ乗客を守り

煉獄さんと共に外に出た


「全集中の常中ができるようだな!感心感心!」


「煉獄さん 禰夜」


炭治郎は倒れたままそう呟いた


「常中は柱への第一歩だからな

柱までは万一歩あるかもしれないがな」


『煉獄さん 嫌味です』


「頑張ります…」


煉獄さんは悪びれもなく嫌味を言う


私に対してもそうだ


「腹部から出血している

もっと集中して呼吸の精度を上げるんだ

体の隅々まで神経を行き渡らせろ」


『血管 破れた血管だよ』


「もっと集中しろ」


止血の方法はまだ教えられてなかったのか


「そこだ 止血 出血を止めろ」


炭治郎の顔が歪んでいく

トン と煉獄さんの指が炭治郎の額に当てられる


「集中」


そして止血ができたようだった


「ぷはっ はっはぁっ」


「うむ 止血できたな」


『呼吸は極めればいろんなことができるようになる

ヒノカミ神楽だっていつか完璧になる』


「昨日の自分より確実に強い自分になれる」


「… はい」


私に 合った呼吸 日の呼吸

でも剣技はどうしても合わない

だから 完璧にはできない


「皆 無事だ!怪我人は大勢だが命に別状はない

君はもう無理せず…」


煉獄さんの言葉が止まり

異様な気配を感じとる

なんだこの気配っ

その瞬間 ドォン と音を立て何かが着地した


何かじゃない 鬼だ


この気配は 強い 上弦!!


「!?」


そして迷いなく炭治郎に向かっていく


「炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天」


煉獄さんの刀は上弦の参の拳を真っ二つにしていた


そして距離をとる

斬られた拳はすぐに再生してゆく

再生速度が速い!

ダメだ この状況じゃ勝てない

煉獄さんであっても


私が加勢しようが関係ない

私の技は役に立たない


『煉獄さん!引いてください!』


「女は黙ってろ」

っ!

鬼の声が刺さったようだった

39 記憶→←37 煉獄の指示



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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月2日 3時

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