20 氷のよう ページ22
『…君は雷かな』
不意にかけられた言葉
「は、はひっ」
『じゃあちゃんと育手がいたんだな』
「本当怖い爺ちゃんが…」
『私も育手に習えばよかったのかな』
そんな風に独り言を呟いていた
って え?
「育手いないの!?」
『いない 呼吸も独作
だからこんなにも不便なんだと今思ったんだ』
禰夜ちゃんの周りはいつにも増して冷たい
呼吸のせいなのか
「いや でもすごいよ!
だって俺なんか壱の型しか使えないし」
『…壱の型しか使えないことは悪いことじゃないよ
極めればいい それに君は誰よりも速いから
雷の呼吸がお似合いだよ』
少しも笑わないし
こっちを向かないけど
穏やかに話してくれた
相変わらず空気は冷たかったけど
『…君も私に近づかないほうがいいよ
私は厄を呼ぶから それに肺に負担がかかる』
そう言って静かに立ち上がると
刀を持って去って行ってしまった
「えっ ちょっ…」
厄を呼ぶ?
肺に負担がかかるって 空気が冷たいことと関係ある?
急いで追いかけたけど 角を曲がった時には
もう見えなくなっていた
音もどんどん遠くなっていく
まさか今から鬼狩りに?
みんなも寝静まったこんな夜中に
禰夜ちゃんはどうしてそこまで
鬼を殺すことに必死なんだろう
償いだとしてもそこまでしなくてもいいじゃないか
そんな風に思っていた
→(善逸sideでした)
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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月2日 3時