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19 雪の呼吸 ページ21

庭に着くと 庭では二本の刀を逆手に持って

素振りをする禰夜ちゃんがいた

無駄のない動き

軽やかで滑らかで まるで水のように流れる動き

刀は 白藍色に輝いていた


ヒュゥゥゥ と雪が風に吹かれるような呼吸音

『雪の呼吸 参ノ型 氷華 細雪』


雪の呼吸…

独自に生み出したものなのかな

水の呼吸の派生なのかな


そんなことを思っていると

振り抜かれた所々に綺麗な氷の花が狂い咲いていた


『散』


そして数秒で散った

散った氷は礫になって宙を舞う


綺麗…だな


そんなことを思っていると

俺の喉にピタリと 刀が付いていた

「ひっ!ぎゃ『っ!』んんんんぅ」


目の前というより

耳元に息がかかる距離にいた禰夜ちゃんに

俺は大声を上げようとした時

口元を抑えられ もごもごしていた


禰夜ちゃんに 触れられてる!?


え、 てか 殺されかけた?え?



…禰夜ちゃんの手冷たいな

ていうか 凍ってるみたいだ

俺が静かになったのを見てか

手を離し刀を鞘に納めた


「あ、えと、そそ、その、ごめんなさい!」


『うるさい』


そう一言言って 縁側に座る禰夜ちゃん


『みんな寝てるから静かにするんだ』


「は、はひっ」


『だからうるさいって』


「ごめんなさい…」


なんか俺 普通に話せてる?

俺もなんとなく禰夜ちゃんの横に座った

だけど怒られることはなくて

禰夜ちゃんは空を見上げていた


ふと この間

炭治郎と言い合ってたときのことを思い出した


炭治郎から聞いてた禰夜ちゃんとはやっぱり違う

よく笑う子だったって聞いたのに

笑ったところは一度も見ない


刀を丁寧に横に置いた禰夜ちゃんの手は

比喩的な意味じゃなく 凍っていた

指先が凍ってて 手は真っ赤だ


「手…」

『なんともないよ』


白藍色の氷のような瞳はどこを見据えてるんだろう


「なんともないって 凍ってる…」

『いつものこと』


禰夜ちゃんが使ってる呼吸は

そんなにも大変なものなのか

刀は両方刀身が短いけど 一刀は特に短かった

体の小さい禰夜ちゃんに合った刀と刀の振り方

多分誰も禰夜ちゃんの動きは真似できないし

予測できないと思う


それに あの速さ

甲 なだけあるな そりゃ

なんて考えた

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作者名:癒姫 | 作成日時:2019年8月2日 3時

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