第31話 ページ32
教室に戻るともうカナヲも伊之助もほとんど弁当を食べていた。
「どうだった？」
そう微笑みながら聞いてくるカナヲの目は、なんだか赤く腫れているようにも見える。
気のせいかと思い、
「…結局何もわかんなかった、」
とだけ告げた。
「そっか」
「あ？なんでおめーらそんなに暗いんだ？？よし、俺が慰めてやるよ。親分は子分の面倒を見るのが仕事だからな!!」
伊之助が和ませてくれ、残りの昼休みは笑って過ごすことができた。
＿＿＿＿＿＿＿
午後の授業も終わり、帰ろうと準備をしているとき。
「…A」
カナヲが申し訳なさそうに私に話しかけてきた。
「どしたの？カナヲ」
「……その…今日は炭治郎と2人で帰る…話あるらしくて」
そう言う彼女の顔は険しい。
「……わかった。私と禰豆子ちゃんと伊之助？もいるかな？で帰るね」
「うん……ごめんね、あ、伊之助はなんか冨岡先生に呼び出されてた気がする。」
「おっけ。ありがとう！」
なるべく明るめに返す。
カナヲは私の笑顔を見て気が軽くなったのか、安心したように笑って教室を出ていった。
(さてと……禰豆子ちゃん迎えに行かなきゃ)
今日はいつもより少し荷物が多く、
鞄の中をまとめるのに手こずってしまった。
「やばいやばい…禰豆子ちゃん待たせちゃってる」
早足で中等部へ向かう。
あともう少しで禰豆子ちゃんの待つ教室。
禰豆子ちゃんのクラスは、階段をのぼってからすぐだから、教室は階段から見える。
「……え？」
私はあと十数メートルというところの階段で足を止めた。
そこには教室の入口で笑い合う禰豆子ちゃんと善逸の姿があった。
2人は私に気づかず談笑を続けている。
それを何も出来ずにただ見つめていると。
「……っ…」
善逸の顔が禰豆子ちゃんの顔に近づいた。
禰豆子ちゃんはいつもみたく抵抗しない。
私はこれ以上見たくなくてすぐに今来た道を折り返した。
＿＿＿＿＿＿＿
「……善逸さん？」
「ごめんね！毛がついてたから！そんな禰豆子ちゃんも可愛いけど！」
「もういいですか？私早くAちゃんのところ行きたいです」
「えぇ〜俺にしなよ〜」
そう笑う善逸はどこかいつもより楽しげだ。
(…あんな必死に戻ってっちゃって)
……善逸はAの音を聞き逃さなかった。
(かわいー音させるよね)
それは間違いなく、
嫉妬の音。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 80人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
莉桜(プロフ) - ericaさん» めっっちゃそれなです……！！善逸のギャップは世の女性を虜にしますよね()笑 更新頑張ります！ (2020年5月4日 22時) (
レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
erica(プロフ) - くぅぅ…善逸尊い！好き！ 続きが楽しみです！！ (2020年5月4日 22時) (レス) id: 6859020b2e (このIDを非表示/違反報告)
莉桜(プロフ) - 乃乃さん» コメントありがとうございます！歪み系いいですよね…！何人かですれ違うのがたまらなく好きなんです…笑 更新頑張ります！ (2020年5月4日 21時) (レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
乃乃 - 神作ですね…！！ こういう歪み系大好きです！ 更新めっちゃ楽しみにしてます (2020年5月4日 21時) (レス) id: 5008f00fa0 (このIDを非表示/違反報告)
莉桜(プロフ) - るんるさん» わぁぁ！初コメ嬉しい！！笑 ありがとうございます！！(*´∀｀*) 励みになります！ (2020年5月4日 11時) (レス) id: 9caa94bd8c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉桜 | 作成日時：2020年4月25日 22時
