欲望オルタナティブ【我妻善逸】【キメ学】

第27話 ※回想 ページ28

善逸は俺の妹の禰豆子に惚れているようで、よく俺に話しかけに来ていた。

「たぁんじろぉおぉ！禰豆子ちゃんのタイプの人教えてよぉぉお！」

「禰豆子ちゃぁあぁん！！今日も可愛いねぇえぇえ！あれっ、無視しないでぇ！？」

「俺一生禰豆子ちゃんを幸せにする！！もう他の女の子にも目移りしない！！だから妹さんを、、嫁にください！！！」


お前は禰豆子一筋じゃなかったのか？






「あ、りがとう」

Aがぎこちなく告げてくる。

それに対して俺はなぜか「いや」と微笑むことしか出来なかった。

＿＿＿＿＿＿＿

下の階の方まで落ちていった紙を回収し、上へ戻ろうと階段をのぼり始める。

踊り場の目の前に来たとき、

(…カナヲ…)

最近ほとんど会話をしていないカナヲが立っていた。

どうしようかと硬直していると、
Aが助け舟を出してくれる。

「カナヲ！！禰豆子ちゃん助けるの手伝って！」

「？うん」

カナヲは俺に気づかないまま階段をのぼっていった。

…Aのおかげで助かった。


……でも、本当は。




A、お前が原因で今カナヲと険悪になっているんだよ。




後ろから「猪突猛進！！」という声が聞こえてくる。

「おわ、伊之助？？なんでこっちから来てるんだ？」

「権八郎が見つからねぇから校舎裏1周してやったぜ！！」

「そうか、ごめんな。」

「俺をホワホワさせんじゃねぇ！！ん？？なんだそれ？」

伊之助は俺が持っていた紙を指さして首を傾げた。

「ああ、これか。風紀委員の善逸が落としてな。届けてこようと思って。」

「俺に任せろ！親分は子分よりも強いからな！」

そう言って俺から紙を奪った伊之助はちょうど階段を下りてきたAに紙を差し出す。

Aは一瞬目を丸くしたが「まったく」といった顔で受け取り再び階段の上へのぼっていった。

「よし！紋次郎さっさと帰るぞ！！」

「……すまない伊之助、今日はちょっと先に帰ってくれないか？」

「はぁーん！？俺様を1人にする気か！？」

「ごめんな、やっぱり寂しいか」

「あぁ！？俺は強いからな！！豚太郎がいなくても1人で勝てるぜ！！」

そう言うと伊之助はもの凄いスピードで校舎から出ていった。

彼を先に帰らせることに成功したのも長年のスキルだ。

A達が居なくなるまで待った後、善逸に声をかける。

「……善逸」

「………炭治郎？」



.

第28話 ※回想→←第26話 ※回想

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す