私の過去 ページ2
散々泣いたせいか、目はうっすら赤みを帯びていた。
それだけならまだよかったが、少し目が隠れるほどに瞼(まぶた)が腫れていた。
『不細工(ブサイク)な女。』
善逸から、誕生日の贈り物として貰った手鏡。
綺麗な黄色い花に、桃色の花が描かれている。
「これ見た瞬間、Aちゃんのことが思い浮かんだんだ。ほら、この黄色い花と桃色の花、俺とAちゃんみたいでしょ?」
そう言って私にくれたときは、とても嬉しかった。
でも、こんな不細工な私をうつすことになるなんて、この手鏡は思ってなかっただろうな。
私は重たい女ね。
お母様がまだ生きていた時、母は兄弟によくいじめられて泣き腫らしていた私に、布を濡らし、氷を2つ包んだものを目に当ててくれていた。
それから、私は泣き腫らしてしまった時いつもこれをつくっていた。
でも、私が鬼殺隊として入隊してからは、泣かなくなっていたので滅多に作ることは無かった。
お母様は、鬼に惨殺され喰われた。
女の身体を好む鬼だ。不味かろうが、美人で18歳以上の女を狙い片っ端から食べる、所謂(いわゆる)変態鬼であった。
当時私は家に居なかった。兄弟のひとり、姉の紹巴(つぐは)と共に、買い物に行っていた。
お母様と共に家で昼食を食べていた、妹の絢音(あやね)・瑚羽音(こはね)、弟の春秋(はるあき)、兄の裕次郎(ゆうじろう)のうちわ絢音と瑚羽音は行方不明となり、春秋と裕次郎は惨殺されていた。
その光景を見た私とお姉様は、その鬼を絶対に殺すと誓った。
言葉にはしていないが、握りあった手でわかった。
大事な家族を惨殺され、同時に大切なものを失う辛さと苦しみと怒りを知った私とお姉様は、たとえどれだけ自分に良くしてくれる者であっても、必要以上に干渉しないことを約束した。
だって、仲良くなればなるほど、失った時がつらいでしょ....?
でも、そんな約束をぶち壊すほどの強いアプローチ。
私は善逸と出会った。
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作者名:蒼乃 | 作成日時:2021年1月4日 16時