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突然 壱。 ページ9

「A〜、回覧板届けてくれない?」

『うん!いいよー』

今日は文化祭の振替休日でお休みだ。お父さんは仕事だけど、私とお母さんはお休みの日。

昨日の気持ちを思い出すとまだ少し恥ずかしいけど、無一郎くんに会えるかもしれない。私は緊張しつつも隣の家に向かった。

インターホンを押すと、出てきたのは有一郎くんだった。

「ああ、回覧板か。渡しとくな」

『うん。……あのね、有一郎くん。今ちょっと大丈夫?』

「別に構わないけど……俺の部屋でもいいか?」

頷くと、有一郎くんの部屋に通された。ここは綺麗に片付けられていて居心地もいい。私のごちゃごちゃした部屋とは大違いだ。

有一郎くんが椅子、私がベッドに腰掛けた。このベッド、フカフカしていて好きだ。

「……それで?何があった」

『あ、あの。私ね、昨日気付いたんだけど……無一郎くんのこと、好き、みたいで』

「…………」

『有一郎くんに相談すれば、どうすればいいか教えてくれるかなって』

「…………A、お前鈍感にも程があるだろ」

言うや否や、有一郎くんは立ち上がって私の肩を軽く押した。視界がぐらっと変化して、天井と有一郎くんの顔が真正面に見える。

……ん、ちょっと待って。これって、よくテレビとかで見る押し倒されるって状況?

「俺はAが好きだ。今までは遠慮してたけど、Aが無一郎を好きだって言うなら……。俺は、本気を出そうと思う」

『……え?』

「A。……好きだ。この地球上の誰よりも何よりも、Aのことが好きだ。無一郎よりも俺を好きになってほしい」

『いやあの、だって有一郎くんはお兄ちゃんみたいな存在で――』

「俺はずっと、Aを一人の女子として大切に想ってた。……A、俺のことは男として見れないのか?」

『っ……ずるい、そんな聞き方……』

こんなことされて、ただの幼なじみとは思えない。思えるわけない。

でも、私が好きなのは無一郎くんだ。

『私、無一郎くんのことが――』

「……兄さん、していいことと悪いことがあるでしょ」

「いつからいたんだよ」

「今さっきだけど」

戸の方向を見ると、無一郎くんが立っていた。

少しだけ怒っているように見える。いつもの無一郎くんとは違う。

「とりあえず、離してくれる?その体勢は駄目だよ」

『……違うの無一郎くん、これは――』

変な誤解はされたくない。

「――俺はAに告白した」

「……え?」

有一郎くん、突然どうしたの……?

突然 弐。→←後夜祭。



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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時

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