猫耳メイドカフェ 弐。 ページ7
「いらっしゃいませ。何名様ですか」
「お好きな席にどうぞ」
文化祭当日。
うちのクラスのカフェは、沢山の客で賑わっていた。
無一郎くんと有一郎くんの猫耳メイド姿は大盛況で、女子たちがものすごい勢いで来店してくる。一方で、男子のお客さんも多い。
『二人とも、“お帰りなさいませご主人様”って言わなきゃ駄目だよ』
「うん、分かった分かった」
「いらっしゃいませ こちらへどうぞー(棒)」
『絶対分かってないでしょ!』
私はあんなに恥ずかしい思いをしながらも頑張ったというのに。この二人は勝手だけど、それが許されるだけの客引き力があるのだから何も言えない。
「すいませーん、こっちもオーダーいいですか」
『あ、はい!……ご注文をどうぞ、ご主人様!』
この恥ずかしい喋り方にも随分慣れた。知っている人相手だとまだ恥ずかしいけど、知らないお客さん相手なら大丈夫だ。
「ねぇ君、名前は?」
『桐宮Aです。あの、ご注文を……』
「Aちゃんって、すごく可愛いね!連絡先教えてよ!」
『ええと……』
連絡先を聞かれるなんて思っていなかった。知らない人に連絡先を教えるのは抵抗があるし、それが年上の男子グループなら尚更のことだ。
「ほら、ご主人様の命令だよ。連絡先教えて」
『ごめんなさい、それは流石に……。ご注文お決まりでないなら、失礼してもいいですか?』
「だーめ。俺ら教えてくれるまでここから退かないから」
本当に困った。お客さんだから乱暴に出ていってもらう訳にはいかないし、でも教えるのも怖いし。
「……ねぇ、早く教えてって言ってんだけど!」
『……っ!痛いです、離してください!』
腕を掴まれた。力が強くて、いくら離そうとしてもびくともしない。
「ねぇ。……何してんの」
『無一郎くん……』
「何してるのって聞いてるんだけど」
「あれ、Aちゃんの友達?君も可愛いね。よかったら連絡先教えてくれない?」
「ふざけないでよ。僕は女じゃないし、お前くらい簡単に吹っ飛ばせる。……Aは俺のだから、汚い手で触るな」
そう言うと無一郎くんは腕を捻り上げ、悲鳴を上げた男の人は店を去っていった。
『ありがとう、無一郎くん』
「ううん。それより、触られたところ見せて」
袖をめくると、うっすらと赤く跡が付いている。
「……ごめん、守れなくて」
『ううん、守ってくれたよ』
助けてくれた時の無一郎くんの顔がすごく“男の人”に見えて、顔が熱かった。
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【夜桜】・しーちゃん・ - わぁ…!もう感動したぁ…! (2020年8月14日 13時) (レス) id: 031218a0d7 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - 少し嫉妬しそう。ぷくー (2020年4月17日 0時) (レス) id: 5656ed0b69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん - うふふうふふふふふふニヤニヤニヤにや (2020年4月9日 15時) (レス) id: 76b4a4436f (このIDを非表示/違反報告)
飴(プロフ) - やばいっ!無一郎君も好きだけど、有一郎君派に行きそう/// (2020年4月6日 21時) (レス) id: 2eacc9981a (このIDを非表示/違反報告)
レイン(プロフ) - 連載お疲れ様でした!最後凄い泣けました……(´;ω;`)これからも頑張って下さい! (2020年4月6日 21時) (レス) id: da75407877 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:karin | 作成日時:2020年2月14日 21時